IDでもっと便利に新規取得

ログイン


ここから本文です

【時事メディカル】9/3配信
3回目ワクチンは国産の可能性
       ~抗体価減少への対応で出番~(その2)

 ◇ワクチン接種の明確なメリット

これについては、たとえ抗体価が急激に減るとしても、ワクチン接種はメリットが明確にある、といえます。実は、一度、中和抗体が減ってゼロになったとしても、中和抗体をつくるB細胞は敵(この場合、新型コロナウイルス)を記憶しており、外部から入ってくれば速やかに中和抗体をつくり、対抗します(これをメモリーBセルといい、新型コロナウイルスに限らず、感染症に一度かかった人でよく知られている現象です)。その結果、新型コロナウイルスの感染を予防できなくても、発症や重症化・死亡を防ぐことができます。

実際、ファイザー社のRNAワクチンでは、2回目の接種から2―4カ月後で90・1 %の発症予防率、4-6カ月後でも83・7 %と報告されています。また、重症化予防率は、2回目の接種から6カ月で96・7 %と報告されています。特に、重症化予防率が高いのは、先に述べたメモリーBセルの働きだけでなく、細胞性免疫の作用によるともいわれています。

ワクチンのメカニズムには、B細胞が中和抗体をつくってウイルスの感染を防ぐ液性免疫と、ヘルパーT細胞がインターフェロンγなどのサイトカインを産生してキラーT細胞やNK細胞を活性化させ、ウイルスの増殖をきたしている細胞を攻撃して死滅させる細胞性免疫の2つの経路があります(図1)。液性免疫は感染や発症予防効果に関係し、細胞性免疫は重症化予防や死亡予防に貢献していると考えられています。

今、国内で接種可能なファイザー社やモデルナ社のRNAワクチンとアストラゼネカ社のアデノウイルスベクターワクチン、我々のDNAワクチンなどは、液性免疫と細胞性免疫の双方を誘導する作用を持っており、不活化ワクチンとたんぱく質ベースのワクチンは、液性免疫だけで細胞性免疫が誘導されないといわれています。

中国製のワクチンが主流となっている中東諸国、インドネシアなどの東南アジア各国、ペルーなどの中南米諸国で、デルタ型による重症化や死亡者が欧米に比べると多いのは、このようなワクチンの種類の違いによるのかもしれません。その意味で、日本においては、たとえ中和抗体が早期に減っても、現在接種可能なワクチンを接種する意味は大きいといえます。