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ラクオリア創薬(株)【4579】の掲示板 2016/03/05〜2016/03/13

>>970

 ヒトには脳に中枢時計、全身の臓器の細胞に末梢(まっしょう)時計という2種類の体内時計があります。光の情報はまず目に入り、視神経を通って、脳内の中枢時計へと伝わります。中枢時計には「ピリオド」という名の時計遺伝子があり、光の刺激を受けると遺伝子が「オン」の状態になって、発現量(遺伝子の情報に基づいて作られるたんぱく質の量)が増えます。つまりピリオドは日の出とともにスイッチが入り、昼間の明るい時間帯には発現量が増え、日没で暗くなるとともに少なくなる、という1日周期のリズムを持っています。

 ヒトの体内時計は1周期が24時間10分ほどです。そのため、体内時計と地球の時計は1日に約10分ずつ、1週間で1時間以上もずれてしまいます。それでは生活に支障が出るため、体内時計の「時刻合わせ」が必要となるのですが、そのスイッチが朝の光なのです。毎朝、日の出とともに、ピリオドのスイッチが入って体内時計は10分ほど進められ、地球の時計に合わせる仕組みになっています。

 重要なのは、ピリオドは光であれば太陽光でなくとも同じ反応をする点です。発光ダイオード(LED)でも、蛍光灯でもピリオドは応答してしまいます。人工の光がなかった時代は、ピリオドを制御するのは太陽光だけでしたが、人工の光にあふれた現代は、夜間にもさまざまな光を浴びます。そのたびにピリオドのスイッチが入り、夜中なのに発現量が増えて、体内時計の遅れが生じます。

  • >>971

     ◇ブルーライトが体内時計を調節する鍵

     また最近の研究で、ピリオドは特に青い光に強く応答することが解明されました。さらに目の網膜にある「ものを見るための細胞(視細胞)」が機能しない状態=ものが見えない状態でも、体内時計は光に応答できることが分かりました。その成果を受けて02年、「メラノプシン」という光を感じ取るたんぱく質が働く細胞が、哺乳類の網膜にあると発見されたのです。つまり、それまで知られていなかった新しい「光を感じる仕組み」が、私たちの目にあることが分かったということです。

     ピリオドが青い光に応答しやすいのは、メラノプシンが青い光(波長460~480ナノメートル)に反応しやすい性質を持っているためでした。青い光には同時に、眠りを誘発するホルモン「メラトニン」の分泌を抑える効果もあります。夜寝る前に青い光を見ると、メラノプシンが反応して体内時計が乱れる(リズムが夜型化する)と同時に、メラトニン分泌が減り、入眠障害につながります。パソコンやスマートフォンの画面の光から青い光(青色光、ブルーライト)をカットする眼鏡がありますが、これは単に目の疲れを取るだけではなく、夜間、スマホなどの青色光を浴びることで、体内時計が乱れたり入眠障害になったりすることを防ぐコンセプトの商品です。

     アップル社のiPhone、iPadの最新OS(iOS9.3)には、GPSなどから現在地の日の入り時刻を調べ、自動的に画面の光を暖色系(青色光を減らす)に切り替えるNight Shiftモードが追加されるそうです。iPhoneに限らず、ディスプレーや照明に多く使われているLEDの光には青色光が強く含まれています。そんな光を浴び続けることで健康に悪影響を与えないかがいま危惧されています。