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ラクオリア創薬(株)【4579】の掲示板 2016/03/05〜2016/03/13

 体内時計は私たちの体の中の細胞一つ一つで働いています。その時計がどこにあり、どのような仕組みで動いているかの研究は、約20年前の「時計遺伝子」の発見で飛躍的に加速しました。時計遺伝子の働き方やそのタイミングを見ることで、「何によって、何分くらい、体内時計が遅れる、進む」と精密に調べられるようになったのです。さらに近年は、時計遺伝子が刻む体内時計が狂うと、がんや糖尿病、高脂血症などさまざまな生活習慣病の発症リスクが高くなることが分かってきています。私たちの体に重大な影響をもたらす体内時計の狂い。その原因の一つが、極めて身近な、そうあなたの目の前に今あるものであることを知っていますか? 「時間生物学」が専門の早稲田大・柴田重信教授、田原優助教に解説してもらいました。

 ◇朝日を浴びて時計遺伝子をスイッチオン

 夜行性のマウス、朝に咲く朝顔、朝に鳴くニワトリなど、地球上の大半の生物は、地球の昼と夜の違いを認識して活動しています。つまり地球の生物の体内時計は、太陽の光に合わせて働くようにできていると言えます。言い換えると、太陽の光は体内時計の時刻を合わせるための重要な情報ということです。

  • >>970

     ヒトには脳に中枢時計、全身の臓器の細胞に末梢(まっしょう)時計という2種類の体内時計があります。光の情報はまず目に入り、視神経を通って、脳内の中枢時計へと伝わります。中枢時計には「ピリオド」という名の時計遺伝子があり、光の刺激を受けると遺伝子が「オン」の状態になって、発現量(遺伝子の情報に基づいて作られるたんぱく質の量)が増えます。つまりピリオドは日の出とともにスイッチが入り、昼間の明るい時間帯には発現量が増え、日没で暗くなるとともに少なくなる、という1日周期のリズムを持っています。

     ヒトの体内時計は1周期が24時間10分ほどです。そのため、体内時計と地球の時計は1日に約10分ずつ、1週間で1時間以上もずれてしまいます。それでは生活に支障が出るため、体内時計の「時刻合わせ」が必要となるのですが、そのスイッチが朝の光なのです。毎朝、日の出とともに、ピリオドのスイッチが入って体内時計は10分ほど進められ、地球の時計に合わせる仕組みになっています。

     重要なのは、ピリオドは光であれば太陽光でなくとも同じ反応をする点です。発光ダイオード(LED)でも、蛍光灯でもピリオドは応答してしまいます。人工の光がなかった時代は、ピリオドを制御するのは太陽光だけでしたが、人工の光にあふれた現代は、夜間にもさまざまな光を浴びます。そのたびにピリオドのスイッチが入り、夜中なのに発現量が増えて、体内時計の遅れが生じます。