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京浜急行電鉄(株)【9006】の掲示板 2019/09/28〜2021/01/06

2019/11/29 PRESIDENT Online 
鉄道ジャーナリスト・都市交通史研究家 枝久保 達也

なぜ京急は「防げるはずの事故」を起こしたのか
信頼を裏切る「事故対応」のまずさ

9月に横浜市内の踏切で起きた快特列車の脱線事故を受け、京浜急行電鉄(京急)は再発防止策を発表した。だがこれまでの説明に誤りがあったことが判明するなど、対応は不安が残るものだった。京急の対応の問題点を、鉄道ジャーナリストの枝久保達也氏が解説する――。

防がねばならない事故だった

なぜ、衝突を避けられなかったのか

NHKのスクープを受けて急いで発表した?

信頼を回復するのに十分とは言えない

「安全」がおろそかになっては意味がない
京急の高頻度・高速運転や相互直通運転、そして何より遅延に強く、早期に運転を再開する輸送サービスには熱心なファンが多く、利用者だけでなく業界関係者からも高く評価されてきた。

例えば鉄道に関する施設整備・サービス・芸術などさまざまな取り組みの中から優れたものを表彰する、国交省主催の表彰制度「日本鉄道賞」は2015年、京急の「列車の遅延を最小限に抑制した、わが国で最高水準の安定輸送」や「高度なプロフェッショナリズムへのゆるぎない信念に基づいた『人間優位』の運行管理思想」などを高く評価して「高度な安定輸送実現・特別賞」を授与している。

しかし、その「安定輸送」最重視の姿勢と「人間優位」思想の裏側で、現場社員が過度な負担を強いられていた可能性はないだろうか。人間優位とは何事も人間だけで解決することを意味しない。イレギュラーな状況で人間が機械よりも迅速、的確に判断できるとしたら、それはハード面の万全なバックアップと、人間の経験があればこそだが、今の京急にはそうした「余裕」が感じられない。

今後、働き手不足の進展により、鉄道業界の現場はますます苦しくなっていくと危惧されている。そうした時代の転換点において、高頻度・高速運転、安定輸送に縛られるあまり、鉄道輸送の根本にあるべき「安全」がおろそかになってしまっては意味がない。

今後も比類なきサービスを維持することができるのか、京急は大きな岐路に立たされている。