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日産自動車(株)【7201】の掲示板 2023/03/09〜2023/03/11

日経 〜 シリコンバレー銀なぜ破綻? テック金融の要、不安連鎖


米テクノロジー企業への融資で知られ、米西海岸シリコンバレーのエコシステムの中核を担ってきたシリコンバレーバンク(SVB)が10日、経営破綻し、米連邦預金保険公社(FDIC)の管理下に入った。米銀の破綻では2008年のリーマン危機で破綻したワシントン・ミューチュアルに次ぐ資産規模。増資発表後も預金の流出が止まらず、わずか2日でのスピード破綻となった。気になる疑問を3つのポイントでまとめた。

(1)シリコンバレーバンクとは?
「昨晩、別の銀行口座に資金を移そうとしたが、取引できなかった。こんなに早く行き詰まるとは……」。10日朝、米カリフォルニア州サンタクララ市のSVB本店を訪れた男性は肩を落とした。男性は医療関連のスタートアップ企業を経営し、SVBに350万ドル(約4億7000万円)を預けていた。FDICによる1口座あたりの預金保護上限(25万ドル)を大きく超える。

本店のドアには鍵がかけられ、重苦しい面持ちの人々が集まった。「当社が口座を持つ金融機関はここだけ。残高は数百万ドルあり、来週からどうすればいいのか」(広告関連のスタートアップで法務を担当する女性)

SVBファイナンシャル・グループ傘下のSVBは1983年に創業した。口座の開きやすさや対応の速さがスタートアップやベンチャーキャピタル(VC)の支持を受け、同社によるとVCが投資する米国のテックやヘルスケア企業の約半数がSVBと取引している。「起業したら口座を開くのが当然」(10日に本店を訪れた経営者)の銀行として知られる。

グループでVCも持ち、米調査会社ピッチブックによるとこれまで米国を中心に約530件投資した。富裕層向け資産運用も手掛けるため起業家のニーズも満たす。シリコンバレーのエコシステムの中核を担う金融機関といえる。

2008年にはイスラエル、12年には中国で合弁会社を設けるなどグローバルにテック企業の資金需要をつかむため拠点を広げてきた。日本に拠点はないが21年にあおぞら銀行がSVB関連の投資ファンド、SVBキャピタルと提携した。

新型コロナウイルス下の金融緩和に伴うカネ余りで、スタートアップは資金調達を拡大した。21年の米国のVC投資は過去最高となった。資金の余ったスタートアップがSVBに預金した結果、22年3月末の預金残高は前年同期比6割増の1980億ドルとピークに達した。

預金が増える一方、株式で十分に資金調達していたスタートアップへの融資需要は低かったため、SVBは運用先として住宅ローン担保証券(MBS)など有価証券の購入にあてた。米連邦準備理事会(FRB)が22年3月に利上げを開始し、急な金利上昇に伴い保有する債券の含み損が想定を上回って拡大。含み損を考慮するとすでに実質債務超過の状態にあったとみられている。

米オッペンハイマーのクリス・コトウスキ氏は「金利上昇は(金利収入の増加で)多くの銀行に恩恵をもたらすが、SVBは金利上昇によって傷つけられる構造を持っていた」と指摘する。

金融引き締め環境に入り未上場企業の企業評価額の見直しも続くなか、資金調達環境が逆風に転じたスタートアップからの預金も減少。SVBの預金残高は22年末、ピークだった同年3月末より13%減少した。

SVBファイナンシャル・グループは8日、一部保有債券の売却に伴う18億ドルの損失計上と、普通株発行などによる22億5000万ドルの増資を発表した。23年2月末時点で150億ドルの現金を持つなど流動性のある状態を強調したが、巨額損失を出しての債券売却と増資が信用不安に拍車をかけた。9日に株価は前日比6割安と急落。増資に失敗し、身売り先を模索したもようだが、10日に経営破綻と事業停止に至った。

(2)なぜ急な破綻に至ったのか?
「投資先が一斉に預金を引き出し始めた」。あるVC関係者は9日晩の様子をこう語る。預金者が殺到したためオンラインバンキングで障害が発生し、預金が引き出せなかったとの声も上がる。「SVBの発表がかえって取り付け騒ぎを引き起こしてしまった」(関係者)。著名投資家ピーター・ティール氏率いるファンドなどが投資先に預金引き出しを呼びかけたことも伝わり、不安が増幅した。

具体的な数字は明らかになっていないが、9日に多額の預金が引き出され、すぐに資金繰りが行き詰まったとみられる。米オッペンハイマーのコトウスキ氏は「シリコンバレーバンクの預金は個人預金が多い他の商業銀と異なり、(スタートアップなどの)法人顧客で主に構成されている」とその特異性を指摘する。22年末時点の預金残高を預金者別にみると、テックやヘルスケア系企業が全体の6割を占め、創業初期の企業も多い。