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エーザイ(株)【4523】の掲示板 2021/08/11〜2021/09/10

自分が、馬齢を重ねていることを確認しました。参考になればと、遠い昔のお話をいたしましょう。

1988年に発売されたプロザックは、アメリカで一時「奇跡の薬」とまで賞賛されました。従来のうつ病治療薬とはまったく違った効果を示したからです。自信のない人や悲観的な人などの消極的な性格を明るく、快活なプラス思考の性格に変える薬として注目されました(社交不安障害に効いていたのでしょう)。

この薬が世界的に知られるようになった最大の理由はおそらく、うつ病患者の治療薬としてよりも、非常に多くの健康人によって使用されるようになったためと見立てています。この薬を飲むと、気分が高揚してエネルギッシュで快活になると評価されたのです。誰でもが、服薬を望んだことでしょう。

重要な取り引きに向かうビジネスマンや、大勢の人の前でプレゼするときする時に緊張しやすい人、あるいは女性とはじめてのデー卜に出かける気弱な男性などが、自宅を出る前にこの薬を服用します。すると明るく自信に満ちて振舞えるようになるというのです。こうしてプロザックは、病気の治療薬というより、積極的で元気な日常を送り人生で成功するための、魔法の薬か家庭の常備薬のようになってしまったというわけです。

アメリカでは精神科医だけでなく、内科の医師もプロザックを処方するようになっていました。プロザックは「ビジネスエリート競争に勝ち残るための必須アイテム」とまで形容されたことがあります。

我が国では承認されなかったため、個人輸入した精神科医が自費診療でプロザックを処方していました。多くの方々が奇跡の薬を求めて、そのクリニックに集まり、
会計では万札が飛び交っていたとのことです。

今日の臨床現場では、多くのSSRIやSNRIが保険診療で処方可能となっており、先のような場面は消えました。

昔の話に付き合っていただき、感謝しております。