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<日経新聞>
帝人ナカシマメディカル、脊椎再生促す微細構造
治療用小型デバイス開発、加工技術生かし業容拡大

2021年6月24日

人工関節などの医療機器を扱う帝人ナカシマメディカル(岡山市)は椎間板ヘルニアなど脊椎疾患の治療に有効な脊椎固定用の小型デバイスを開発した。保険適用も決まり近く発売する。脊椎の再生を促す微細な構造が特長。船舶用プロペラ製造のグループ会社と共有する金属加工技術を生かし、業容拡大を図る。

現在、椎間板ヘルニアや脊椎すべり症などの手術・治療では、高さ、奥行きが1センチ前後で横幅2、3センチの虫かご状の金属片(ケージ)を椎間板に埋め込むことが多い。手術で除去されたり、症状で損傷したりした椎間板を補強。衝撃吸収しながら椎間板の再生を促す。

ケージ内部の空洞に患者の別の部位の骨片を入れて埋め込む手法が一般的だが、安定するまでに時間がかかりやすい。

同社が開発したデバイス「ユニオス PLスペーサー」は内部構造が異なる。チタン合金製で、上からは無数の六角形の中に6つの三角形が規則正しく並び六角柱、三角柱のように見えるが、側面は微細な棒状突起で窓状の隙間がある。「ハニカム・ツリー・ストラクチャー」(HTS)構造で隙間から骨髄液が循環しやすい。

日本医療研究開発機構(AMED)の産学連携プロジェクトの成果。形状はプロジェクトに参加した大阪大学の中野貴由教授(材料工学)が提唱した。構造を分析し「骨の中の配向性(繊維や粒子の方向性)が強度に大きな影響を与える」ことを突き止めた。また、北海道医療センター(札幌市)が生きたヒツジの脊椎(椎体)にケージを埋め込み8週間後に引き抜く実験をしたところ、HTSのケージは従来型の骨片を入れたケージの3倍以上の強度があった。

このプロジェクトには、東京医科歯科大学、東北大学、北海道大学の研究者も参画。成果が凝縮された新デバイスはチタン合金のパウダーを溶かし、3Dプリンターで製造する。4月に製造販売承認を取得、6月1日に保険収載された。「量産を進めており、近く発売する計画」(経営企画課)だ。


景気に左右されがちな造船事業のリスク分散を狙って1987年に医療機器事業へ進出。2008年にナカシマメディカルとして分社化、15年に帝人と資本提携した。