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(株)ジーエヌアイグループ【2160】の掲示板 2020/02/02〜2020/02/04

間質性肺炎はいくつかの種類に分類されますが、もっともポピュラーなものがIPFでして、それの慢性的な線維化抑制の薬剤がpirfenidoneです。

で、間質性肺炎の予後において、最も重要なのが、間質性肺炎急性増悪です。

急性増悪はIPFでも、NSIPでも、CPFEでも発生します。この急性増悪の際の病理像はDADパターンと言われます

で、この急性増悪の状態になると、ステロイドの大量投与療法がこれまで慣習的に行われてきましたが、その効果は不明瞭でむしろ予後が悪化するとさえ、報告されております。その他の薬剤としては、ある程度間質性肺炎のパターンにもよりますが、エンドキサンであったり、リコモジュリンであったり、エンドトキシン吸着療法であったり…
どれもエビデンスレベルは低いです。

で、いま問題になっているのが、コロナウイルスによるARDSです。ARDSは病理像としてはDADに該当します。コロナのARDSが同じDADかどうかは不明ですが、ARDSというのはあらゆる疾患に付随する合併症であり、おそらく同一です。要するに ARDSと間質性肺炎急性増悪の病理像は同一とされております。
ARDSに対する治療は基本的には原因疾患への対処療法しかありません。とはいえ、原因疾患に対応していても、どんどんARDSの線維化が進行することが臨床上、よくあります。人工呼吸器を使用していると、VILIも惹起してしまうので、なおさらです。膵炎でも脳出血でも、当然肺炎でも起きます。ARDSにもやはりステロイドを慣習的に使用しますが、諸外国では否定的な意見が多いです。先日のLANCETの一報しか拝読しておりませんが、コロナウイルス肺炎の死因にARDSが多いと挙げられておりました。

で、少し話が逸れましたが、病理像が間質性肺炎急性増悪とARDSでは一致します。
病理像が一致ということは、病態的には論理上は同一のはずです(実際は臨床経過や原疾患を考えないといけないので、治療は多少異なりますが)

臨床医としては、一度発症すると厄介な間質性肺炎急性増悪およびARDSに対して、本来の意味合いとは違う使用にはなりますが、ピルフェニドンが効くのかどうかというのは、非常に気になるところです。なぜなら上述のごとく、有効な薬というものが無いからです。
すでに慢性期からピルフェニドンが使用されている場合は除きますが、急性増悪例でピルフェニドンがもともと未投与の場合、効果があるのか??そして間質性肺炎急性増悪とよく似た病態をもつARDSに効果はあるのか。

すでに小規模な後ろ向き研究ではありますが、間質性肺炎急性増悪に対してピルフェニドンの追加投与の有効性を示唆する論文はいくつか報告されております(pirfenidone, acute exacerbationでpubmed検索してみてください)。
1つは確か千葉大学からの報告だったと思います

ということで、ピルフェニドンとよく似たお薬であるアイスリューイが、ARDSに奏功すれば良いですね。

長くなりましたが、簡単に言いますと、コロナウイルス肺炎に使用するのではなく、コロナウイルス肺炎に合併する致死的なARDSに対して寄付したということです。もしこれが有用であれば、あらゆる疾患に合併するARDSの治療に影響がありますが、どうなんでしょう?自分としてはやや懐疑的ですが、なんせデータが無いので(たぶん)、大規模studyとかしないと分かりません。そのような臨床研究も必要だとは思います