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(株)ジーエヌアイグループ【2160】の掲示板 2019/07/13〜2019/07/17

これがじん肺症の実態か

★奇跡の陰で 中国・改革開放40年 人権 炭鉱労働者、使い捨て
2018年12月18日 朝刊 東京新聞

湖北省の交通の要衝、黄岡から高速道路を走って約三時間、車一台がようやく通れる山道に入った。たどり着いた羅田県は山がちの土地に広がる貧村だ。通った山道は昨年ようやく舗装されたばかりという。

 陳先平さん(44)はこの村に多いじん肺患者の一人。山裾にある農家の一室は台所と居間を兼ね、片隅に薪が積まれている。「歩いただけで息苦しい。体が冷えた時もつらい。空気がなくなったように感じる」

 十九歳から山東省の鉱山で働き始めた。地元で農業を続けるより収入が多い。当時は村中の人が同じ鉱山へ出稼ぎに行ったという。

 「せきが続き、最初は風邪かと思った」。薬も注射も効かずに症状が重くなり、六年前に鉱山の仕事を辞めた。その後にじん肺と診断されたが、根本的な治療方法はない。風邪で重症化しやすいため、秋口になると何枚も重ね着をする。

中国の炭鉱や鉱山で低賃金で働いてきたのは、農民工と呼ばれる陳さんのような農村出身者だ。炭鉱や鉱山で発生する粉じんは多数のじん肺患者を生み出し、その数は全国で六百万人とも一千万人ともいわれる。

 陳さんが働いたのは労働環境が比較的いいとされる国有企業の鉱山だったが、辞める数年前までマスクを着けていなかったという。「昔はこんな病気は誰も知らず、注意する人もいなかった」。本来は企業側が講じるべき予防対策は今も不十分なまま、新たな患者が増え続けている。

 患者支援も乏しい。陳さんは会社側との労働契約書がなく、労災も認められず治療費をすべて自己負担。中国社会科学院の調査(二〇〇八年)では、労働契約書を交わした農民工はわずか5%にすぎない。労災が認められて企業や政府から補償を受けられた人は、実際の患者の十分の一から二十分の一とみられている。

 じん肺患者の支援に取り組む北京の非政府組織(NGO)は「現状では予防も罹患(りかん)後の負担も、基本的に農民工に押しつけられている」と指摘する。中国最大の職業病と呼ばれるじん肺は、経済成長と比例するように患者が増加してきた。

「じん肺の実情を知ってほしい。政府に助けてほしい」。こう訴える陳さんに、改革開放の光はまだ届いていない。

急げ艾思瑞💛