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内需株襲う淘汰の波 最後に残った鉄道株 【日経電子版 一部抜粋】

投資家のリスク回避姿勢が強まったときの資金の受け皿だった内需中心のディフェンシブ銘柄に淘汰の波が押し寄せ始めた。10月の消費増税の延期論がしぼむなか、電力・ガスや医薬品などディフェンシブの4番バッターから資金が流出。不安にさいなまれた資金は鉄道など増税の影響を受けにくい最後の「浮輪」にしがみつこうとしている。

「正直戸惑っている」。都内に拠点を置く鉄道会社の投資家向け広報(IR)担当者は決算発表後のIR説明会でとまどいをみせていた。当惑の理由は上げに勢いがついている株価だ。

24日の東京市場は日経平均株価が33円(0.2%)安だったが、阪急阪神ホールディングス(HD)が0.9%高、京浜急行電鉄が0.2%高と逆行高となる鉄道株が目立つ。日経平均採用の225銘柄を連休前の4月26日と比べると、京王電鉄が16%高で2位、東京急行電鉄が4位の11%高だ。

鉄道銘柄が買われる理由は2つある。1つは海外で激化する米中貿易摩擦の余波を受けにくい点。もう一つが「消費増税の影響を受けにくい点」(JPモルガン証券の姫野良太アナリスト)だ。消費税率が上がっても通勤・通学の定期券需要は消えない。買い控えや駆け込み需要の反動減が起きにくく業績は安定する。………………………………………………………………………………………………………………もっとも、鉄道株の過熱感は否めない。予想PER(株価収益率)をみると、京浜急行電鉄が32倍と2017年11月以来の水準に上昇したほか、京王が33倍、近鉄グループHDが29倍。投資金額の回収に30年前後かかる計算になる。内需ディフェンシブ仲間のオリエンタルランドも68倍で、農林中金全共連アセットマネジメントの山本健豪ファンドマネージャーは「収益力から考えれば買われすぎだ」と話す。

米国は中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)への禁輸措置に動くなど、外需株を取り巻く国際情勢は緊張の一途をたどっている。ただ、米中貿易交渉が一転、解消に向かえば「特定銘柄に集中した資金は、逃げる時も一気に流出する」(大木氏)可能性がある。鉄道株の上昇は砂上の楼閣かもしれない。