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(株)モダリス【4883】の掲示板 2020/10/09〜2020/10/12

この記事で上がったんですか?

 発売はおろか、治験入りした開発品もないのに、モダリスはなぜ黒字を実現できたのか。背景には、遺伝子治療というバイオ医薬の新潮流がある。同社の創薬事業の基盤は、遺伝子の狙った部分を切断して書き換えるゲノム編集技術「クリスパー・キャス9」を応用した独自技術だ。10月7日に発表された今年のノーベル化学賞は、クリスパー・キャス9を開発した研究者2人が選ばれている。
 遺伝子の切断にはがん化のリスクが伴うため、クリスパー・キャス9で用いられる酵素からハサミの機能をなくし、病気の原因となる遺伝子のスイッチを制御する機能を持たせた。照準に据えるのは、筋肉が徐々に衰える難病の筋ジストロフィーなど、一つの遺伝子の変異を原因とする希少疾患向けの創薬。約7000ある希少疾患の約半数を占めている。
 こうした希少疾患では、原因と疾患が一対一で対応するため、米国では動物実験で候補薬の有効性が確認された段階で、成功確率が高いと考える大手製薬会社がベンチャーとライセンス契約するケースが続出。実際、モダリスも前臨床(動物実験)段階で、アステラス製薬と計380億円以上のマイルストーン収入(開発進捗(しんちょく)に応じて支払われる収入)契約を結ぶなどし、黒字化につながった。
 モダリスには現在、パイプライン(新薬候補)が7本ある。森田晴彦社長は「がんなどの患者数の多い疾患を狙って赤字を出しても『大ホームラン』を狙う従来の創薬から、確実にヒットを重ねるビジネスモデルに転換しなければ希少疾患にはアプローチできない。遺伝子治療は、ある一部分を変えることで他の疾患に対応できる水平展開力もあり、パイプラインは年2本程度増やしたい」と意欲的だ。