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日立造船(株)【7004】の掲示板 2022/05/27〜2022/08/06

グリーン水素、出遅れ挽回へ 旭化成など製造装置開発
2022年6月26日 2:00 [有料会員限定]

再生可能エネルギーへの移行が加速するなか、再生エネ由来の電気で水を分解して製造する「グリーン水素」が脚光を浴びている。水素を製造する基幹装置の開発は欧州企業が大型投資で先行するが、日本企業も実用化に向けて開発を進めている。旭化成や日立造船は水電解装置の開発に着手しており、今後の商機を捉えるため日本勢は出遅れを挽回したい考えだ

旭化成は水素製造1ユニットあたりの最大出力が1万キロワットと、世界最大級の装置を2025年までに実用化する計画を掲げており、開発を進めている。同社は食塩電解の膜・システムを約30カ国で提供し、この分野では世界トップに立つ。水電解装置にも同事業で培った知見を活用する

「耐久性や運転・操作性、保守管理の総合力で需要を取っていく」。旭化成の植竹伸子グリーンソリューションプロジェクト長はグリーン水素製造の要となる水電解装置で世界に打って出る構想を描く

日立造船も水素を将来の収益源とみて、水電解装置の開発に取り組む。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が山梨県で行っている実証事業に参画しているほか、ラオスでも再生エネから水素を作る実証実験を計画しており、海外にも視野を広げる。「30年前後に合わせ、開発や生産体制を整えたい」としており、開発を進める

水素ブームの中心地は欧州だ。欧州連合(EU)は5月、30年までにEU域内で年間1000万トンのグリーン水素を製造する目標を発表した。これは従来目標の2倍の規模となる。欧州委員会のフォンデアライエン委員長は5月、「グリーン水素はロシアのような信頼性が低く、危険な(エネルギー)供給源への依存を解消するために不可欠だ」と述べ、自給自足のエネルギー源としてグリーン水素を促進する意向を示した

グリーン水素が注目を集めているのは、再生エネを貯蔵できるという特性に加え、ガスの代わりに使うことができるというメリットがあるからだ。欧州では多くの家庭で暖房にガスが使われているが、これを中長期的に水素ボイラーに置き換えていくことで、ロシア依存を減らしながら脱炭素を進めていくことができる。電源を再生エネにしながら水素を普及させていくというロードマップは、脱炭素と脱ロシア依存、双方の観点で理にかなっている。

続く

  • >>509

    こうした状況下で、欧州では電解装置の量産競争が始まっている。ノルウェーのネル・ハイドロジェンは4月、同国南部ヘロヤに建設した水電解装置の量産工場を稼働させた。製造ラインには産業用ロボットを使うことで人間の関与を極力減らしている

    新工場の生産能力は年産50万キロワットとなる。同社のロッケCEOはこれを各地に横展開することで、新たな市場で覇権を握ることを狙う。25年までに米国と欧州で400万KWずつ、アジアで200万KW、合計1000万KWの生産体制の確立を目指す

    独シーメンス・エナジーは3月、ベルリンの工場で23年に数百万KW規模の装置の量産を始めると発表した。独ティッセンクルップは25年までに生産能力を500万KWと今の5倍に増やす。英ITMパワーは英国内に2番目の工場を建て、24年までに計500万KWの生産体制にする計画だ

    量産で製造コストを抑え、普及を促進することでさらに量産効果を出していくのは再エネ関連の欧州企業が得意とするパターンだ。風力発電用の風車では中国を除く世界3強のうち、シーメンスガメサとベスタスの欧州勢が占める。水素産業の要となる電解装置でもこの再現を狙う

    日本勢も手をこまねいている訳ではない。旭化成はドイツでは再エネからつくる水素の実証に18年から本格参画するなど、現地の業界ネットワーク構築を進めてきた。化学や鉄鋼など欧州は地場で水素を消費する重要な地域と位置づける

    伊藤忠商事がネルと提携しているほか、東レはシーメンス・エナジーに電解質膜を提供している。グリーン水素の製造に関わる様々な場面で、日本企業が存在感を発揮する機会は今後増える可能性がある

    もっとも、価格競争に陥って撤退を余儀なくされた風車の二の舞いを避けるため、日本勢は価格競争からは距離を置く

    日立造船は工場などから排出されるCO2を分離回収する技術や、CO2と水素を組み合わせて燃料となる合成メタンを製造するメタネーションなど、脱炭素に向けた商材を数多く持つ。将来的にはCO2の回収から水素の製造、燃料の合成まで一貫して手掛けるシステムを納入することで、プロジェクトの計画段階から入り込むことを狙う。旭化成も安さだけを追わない方針だ

    次世代エネルギーの本命として成長が期待できる水素市場にどのように食い込み、収益を上げるか技術力だけでなく経営力も試される展開になりつつある

    日立造船(株)【7004】 こうした状況下で、欧州では電解装置の量産競争が始まっている。ノルウェーのネル・ハイドロジェンは4月、同国南部ヘロヤに建設した水電解装置の量産工場を稼働させた。製造ラインには産業用ロボットを使うことで人間の関与を極力減らしている  新工場の生産能力は年産50万キロワットとなる。同社のロッケCEOはこれを各地に横展開することで、新たな市場で覇権を握ることを狙う。25年までに米国と欧州で400万KWずつ、アジアで200万KW、合計1000万KWの生産体制の確立を目指す  独シーメンス・エナジーは3月、ベルリンの工場で23年に数百万KW規模の装置の量産を始めると発表した。独ティッセンクルップは25年までに生産能力を500万KWと今の5倍に増やす。英ITMパワーは英国内に2番目の工場を建て、24年までに計500万KWの生産体制にする計画だ  量産で製造コストを抑え、普及を促進することでさらに量産効果を出していくのは再エネ関連の欧州企業が得意とするパターンだ。風力発電用の風車では中国を除く世界3強のうち、シーメンスガメサとベスタスの欧州勢が占める。水素産業の要となる電解装置でもこの再現を狙う  日本勢も手をこまねいている訳ではない。旭化成はドイツでは再エネからつくる水素の実証に18年から本格参画するなど、現地の業界ネットワーク構築を進めてきた。化学や鉄鋼など欧州は地場で水素を消費する重要な地域と位置づける  伊藤忠商事がネルと提携しているほか、東レはシーメンス・エナジーに電解質膜を提供している。グリーン水素の製造に関わる様々な場面で、日本企業が存在感を発揮する機会は今後増える可能性がある  もっとも、価格競争に陥って撤退を余儀なくされた風車の二の舞いを避けるため、日本勢は価格競争からは距離を置く  日立造船は工場などから排出されるCO2を分離回収する技術や、CO2と水素を組み合わせて燃料となる合成メタンを製造するメタネーションなど、脱炭素に向けた商材を数多く持つ。将来的にはCO2の回収から水素の製造、燃料の合成まで一貫して手掛けるシステムを納入することで、プロジェクトの計画段階から入り込むことを狙う。旭化成も安さだけを追わない方針だ  次世代エネルギーの本命として成長が期待できる水素市場にどのように食い込み、収益を上げるか技術力だけでなく経営力も試される展開になりつつある