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ANAは米ボーイングの大型機「777」の運航を減らす方針
ANAは米ボーイングの大型機「777」の運航を減らす方針

従業員も21年春入社の新卒採用を中止する一方、役員報酬をカットする。一般職に対しては年収の3割減を提案するなどしている。希望退職も募集するが、基本的には極力人材を手放さずコロナ禍を乗り切る構えだ。機材の削減を中心に一時的な損失は膨らむが、維持コストを抑え、資金流出を減らす狙いがあるとみられる。JPモルガン証券の姫野良太アナリストは「皆で痛みを分かち、難局を切り抜けたい考えなのだろう」と評価する。

ANAHDは27日、片野坂真哉社長が登壇し、構造改革を発表する。同日発表予定の決算では、21年3月期の連結最終損益で一連の構造改革費用などが響き、5000億円前後の赤字(前期は276億円の黒字)となりそうだ。ANA幹部は「最適な機材は何か。これまでとコロナ後の常識は違ってくるだろう。コストを下げなければ生き残っていけない」と話す。

コロナ禍でテレワークが普及し、出張需要の落ち込みが懸念されるなど、航空業界は生き残りにとどまらず、ビジネスモデルの変革も求められている。「腹をくくった内容だ。これをどう受け止めてもらえるか」。ANAのある幹部は事業構造改革についてこう話す。

コロナ禍が長引くなか、国際線の回復は依然、見通せていない
コロナ禍が長引くなか、国際線の回復は依然、見通せていない

ANAの機内で流れるイメージソング「アナザースカイ」は旅客に愛される曲だ。突如眼前に現れた「新しい空」でどのように翼を広げるのか。持続的な成長の再構築に向けた新戦略が注目される。

  • >>498


    規模は急拡大したが、財務は規律を保ち続けてきた。有利子負債を自己資本で割った負債資本倍率(DEレシオ)はほぼ一貫して低下を続け、10年3月期の2倍から19年3月期は0.7倍にまで改善していた。

    ただ、自社便による路線展開は、コロナ禍のような需要が急減した場面にリスクも高まる。固定費が大きいためだ。

    ANAは過去の投資で機材の整備費やリース費用が膨らんだ。QUICK・ファクトセットによると、航空機のメンテナンス費は10年3月期563億円から19年3月期は1571億円に、レンタル費は604億円から1234億円に増えた。

    レンタル費の増加には、機材をリースでまかなう格安航空会社(LCC)のピーチ・アビエーションを連結子会社化したことも含まれるものの、両費用とも増加幅はJALと比べても大きい。減価償却などと違い、現金の流出を伴う支出だけに、コロナ禍のような緊急事態には経営により大きな重荷となる。

    ANAは当初、今夏までコロナ禍による需要低迷が続くと想定していた。ANAの8月の旅客数は国内線は前年同月比75%減だったが、足下では国内線は大きく回復しており、「11月の予約数は前年の6割程度の水準になる見込み」(ANA)という。一方、国際線は同96%減と低迷は当初の想定を超えて続いている。

    コロナ禍の影響がなかった19年3月期の決算を見ると、ANAの旅客収入のうち国内線が6966億円に対し、国際線は6515億円を占めた。国内線で安定収益を稼ぎつつ、成長の見込める国際線を広げていくのがコロナ禍前の基本戦略だった。事業の大きな柱である国際線が回復しなければ復活は見通せない。

    ■空の「新常態」を見据え、構造改革を断行
    負担を軽くするため、ANAは大型機を中心に保有機の1割程度に当たる25~30機の削減を検討している。大型機や経年機を中心に減損損失を計上する見通しだ。