ここから本文です
Yahoo!ファイナンス
投稿一覧に戻る

三菱電機(株)【6503】の掲示板 2016/10/19〜2017/06/02

>>986

今日の日経産業新聞に記事があるので貼ります
けど1000字ずつ分けなきゃ


第1部挑戦が始まった(1)三菱電機――衛星で勝つ、3割削れ、IoTでコスト改革(宇宙経済圏)

2017/06/02 日経産業新聞 1ページ 3144文字

 日本独自の位置情報システムをつくろうと1日、国が準天頂衛星「みちびき」の2号機を打ち上げた。多くの企業関係者は炎をふかして離陸していく姿に、最近の宇宙ビジネスの盛り上がりを重ねただろう。この未開拓の経済圏で挑戦者の日本勢は、新しい取り組みを始めている。
 午前9時17分、鹿児島県の種子島宇宙センターから予定通りの時刻にみちびきが飛び立った。国の研究組織である宇宙航空研究開発機構(JAXA)が三菱重工業に発注したH2Aロケットに、三菱電機が中心に製造したみちびきが載った。
 三菱重工の打ち上げ責任者、二村幸基執行役員フェローは同日の記者会見で「着実に準備でき、(6月という)難しい時期に打ち上げられた」と胸をなでおろした。悪天候が予想されたが、予報が外れる可能性を勘案して延期を避けた。
 三菱電機の中畔弘晶宇宙システム事業部長は「衛星はこれからが本番で、気を引き締めて運用に臨みたい」と話した。
 日本の宇宙関係者に去来する思いは感慨だけではないはず。宇宙の市場は拡大しているが、決して日本は強くない。華々しい打ち上げの裏で、三菱グループは生産改革に打ち込もうとしている。

部品数は70万点
 三菱電機で宇宙ビジネスを担う岡村将光常務執行役は「コストを3割下げれば世界で戦う土俵にあがれる」と語る。売上高は2016年3月期に1100億円。9割は測位用や通信用の衛星だ。
 コスト削減はあらゆるモノがネットにつながる「IoT」の仕組みを使う。生産データの自動収集などを徐々に始める。
 衛星1基の部品数は70万点にのぼる。管理すべきデータは多く、例えば一つ一つに製造認証とよぶ記録をつける。いつ、どこで作り、どの衛星に搭載されたか。中畔氏はこうした情報を徐々にデジタル化してきたが基本的に手書きであり、デジタル化を進めて分析しやすくすると説明する。分析対象となるデータは設備稼働や製造プロセス、作業環境もある。
 試験データが重要だ。衛星は打ち上げると平均で15年間、直せない。このため1基あたりの納期が25~30カ月あるうち、10カ月は費やして

  • >>997

     試験データが重要だ。衛星は打ち上げると平均で15年間、直せない。このため1基あたりの納期が25~30カ月あるうち、10カ月は費やしている。宇宙の温度・真空環境を作るスペースチェンバー、アンテナの性能をみる電波試験設備などを使っている。試験項目は減らせないが、IT(情報技術)でデータ取得の時間を短縮する。
     宇宙事業が精密で計算ずくの領域でも、生産工程がデジタル化されている必要はなかった。同社は1年に数機の受注量で、しかも受注先に合わせた「一品一様」だ。
     ただ、これから三菱電機の受注は増えそうだ。国は宇宙基本計画にもとづいて長期の衛星打ち上げ方針を出している。同社は今年4月に投資を決めた。衛星生産の鎌倉製作所(神奈川県鎌倉市)に19年、110億円で新棟をつくる。衛星を同時に生産できる能力は10機から18機に増える。
     生産改革はこの新棟も念頭に置いて、データのリアルタイムな連携を進める。鎌倉製作所の生産、設計部門、機器を生産する相模工場(神奈川県相模原市)をつなぐ工場間ネットワークで改善のサイクルを速める。

    新興国に期待
     「新興国に衛星を納めたい」と話す岡村氏の目線の先にあるのは、数えるほどだが納入実績がある中東。トルコやカタールの通信用途などを狙うようだ。アジアでの受注も目指している。
     衛星の海外受注は日本政府によるインフラ輸出の取り組みとセットで進むが、衛星そのものの魅力が欠かせない。1基の価格は小型で10億、大型で300億円といわれる。日本の宇宙政策に関わる関係者は岡村氏の発言を聞いて、本当にできるなら海外メーカーに勝てるだろうと話した。
     米衛星産業協会によると、15年の世界市場規模は06年の2倍近い2083億ドル(23兆円)に達した。ただ、衛星納入シェアは米ロッキード・マーチンやフランスのエアバスなど欧米勢が8~9割で、日本勢はわずかだ。
     三菱重工は国内で唯一、JAXAからロケット製造を受託している。12年に韓国で受注した打ち上げに成功、国際商用ビジネスに参入した。
     同社も今後のロケットビジネスに危機感を持つ。取り組むのは次世代のH3ロケット。1回に100億円程度かかる打ち上げコストを半分に減らそうと、JAXAとプロジェクトを進めており、20年度までに開発を終える。二村氏は「H3は世界から認知されなければならない」と語る。
     宇宙分野以外の企業

  • >>997

     宇宙分野以外の企業が、自社サービスに衛星画像データをどう利用できるかなどと考え始めている。企業ニーズの高まりにJAXAの松浦直人新事業促進部部長は「隔世の感がある」と話す。
     しかしロケット打ち上げのコスト競争は激しい。ロシアが安く、電気自動車メーカーである米テスラのイーロン・マスク最高経営責任者が設立したベンチャーの米スペースXは再利用できるロケットを開発した。
     日本勢が受注を増やす手法として、東京大学航空宇宙工学の中須賀真一教授は「コストを下げた新しい衛星とロケットのパッケージで売っていくことがひとつの可能性だ」と話している。

    海外市場開拓
    日本勢出遅れ
     日本にはノーベル物理学賞の受賞者が9人いるが、宇宙関連企業の層は厚くない。三菱グループが生産を改革し、それを糸口に海外市場の開拓を目指す動きは、日本の宇宙産業が失った力を取り戻そうとする流れに位置づけることができる。
     背景として1990年の日米衛星調達合意が指摘される。スーパーコンピューターの政府調達と同じく、米国が貿易相手に報復するスーパー301条の対象となった。
     生活や産業にかかわる衛星は国際入札に変わるなか、日本勢は失注した。現在の衛星最大手、米スペースシステムズ・ロラールは三菱電機やNEC、東芝が受注していた案件を取っていった。
     ロラールはいま、官需ではなく民需に焦点をあて、さらなるコスト削減や納期短縮の経験を積んでいる。衛星通信の米インテルサットなど、衛星を活用したサービスで世界ビッグ4と呼ばれる企業との取引が多い。
     三菱電機は1999年、鎌倉市に衛星の一貫生産棟を建設し、JAXAに間借りしていて完全にはコントロールできなかった製造工程を自ら持った。2000年、気象衛星ひまわりを海外メーカーから取り返した。
     そこまでのビジネスの目線は内需にあり、最近になって外需の取り込みに動き出したといえる。
     日本の宇宙ビジネスが遅れた別の背景として、国が軍事目的での利用を禁じてきたことが挙げられる。米国のGPSは主にミサイルの精度を上げるためで、それが民間にも開放されてカーナビゲーションやスマートフォンに活用されている。
     宇宙分野で起きていることは、三菱グループのような既存の企業の改革だけではない。日本でも海外でも、新規参入が広がっている。内閣府の報告によると、海外には宇宙ベンチャーが1000

  • >>997

     宇宙分野で起きていることは、三菱グループのような既存の企業の改革だけではない。日本でも海外でも、新規参入が広がっている。内閣府の報告によると、海外には宇宙ベンチャーが1000社ひしめいており、ロケットや衛星の打ち上げ計画が相次いでいる。
     増田有莉、市原朋大、斉藤美保、宮住達朗、矢野摂士が担当します

     ▼準天頂衛星「みちびき」 日本の真上から電波を送り、受信機の正確な位置がわかる。米国のGPS(全地球測位システム)で約10メートルだった誤差が、準天頂衛星と地上設備を併用するとほぼ6センチメートルにおさまる。

     政府は今年度中にあと2基打ち上げ、1、2号機と合わせて4基体制の運用を来春にも始める。高精度な位置情報サービスをいつでも使えるようになる。正確に走る自動運転車や無人で動く農機などへの応用が期待される。
     2023年度をめどに7基体制へ広げる計画がある。7基になると、GPSに頼らず、日本独自に位置情報を取得できるようになる。
    【図・写真】「みちびき」を載せ、打ち上げられるH2Aロケット(1日、鹿児島県の種子島宇宙センター)