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(株)リプロセル【4978】の掲示板 2021/04/27〜2021/05/05

過去にリプロセルの株価が急落したのは、悪魔のワラントに手だしたからだじょ。((( ;゚Д゚)))ガクカ

ワラントとは、Moving Strike Warrant の略なんだじょ。また、日本語では、行使価格修正条項付き新株予約権と訳されるんだじょ。

1.どのような企業が、MSワラントを発行するのか?

上場企業が資金調達する場合、一般的には①銀行借入、②社債発行、③公募増資が利用されます。①と②はデット・ファイナンス(借金であるため返済義務がある)で、③はエクイティ・ファイナンス(株式を発行して資金調達をするため返済をしなくても良い)と言います。①と②で資金調達をするためには、赤字ではないか、担保があることが求められます。③は不特定多数の投資家に購入してもらうのにふさわしい企業である必要があります。そしてふさわしい企業だとしても手続きの期間が長く、コストもかかります。

①と②が不可であり、③は不可か、可能であっても短期で、コストをかけずに資金調達をしたい企業は、MSワラントの発行を選択します。すなわち、一般的にMSワラントを発行する企業は、中小型、赤字が続いている、自己資本比率が低い(借金が多い)、信用リスクが高い(破綻リスクが高い)のどれかに該当します。アンジェスのようなバイオ企業がMSワラントの発行をするのは、上記に該当する企業だからです。

2.引受先は?

証券会社(ほとんどここ)

ファンド

投資事業組合

3.仕組み(一般的なスキーム例)

当初の予定調達額 : 10億円 〔1,000円(当初行使価格) ✕ 1,000,000株(潜在株式数)〕

実際の調達額 : 修正後行使価格 ✕ 潜在株式数 (株価の下落により行使価格が修正されると予定資金調達額が減ります) 

MSワラント発行時の株価 : 1,000円

当初行使価格 : 1,000円

行使価格修正日: 毎月の最終営業日

修正後行使価格 : 毎月の最終営業日の終値 ✕ 90% (つまり毎月末には行使価格は株価の90%に修正されます)

下限価格 (行使価格がこれ以上下がらない水準) : 500円

発行済株式数 : 10,000,000株

潜在株式数(希薄化する株式数) :1,000,000株 

引受先は、発行体に対して、微々たる新株引受権の対価を支払う。

※ 上記のスキームは、有利発行に該当しないため、臨時株主総会を開催する必要はなく、取締役決議で発行が可能。

※ 行使価格は500円を下回らないため、実際の株価が500円を下回ると行使ができないため、企業は資金調達ができなくなります。

最近ではペッパーステーキ(いきなりステーキ)が、その状態に陥りました。

4.引受先の儲け方

大株主から借株をする ← (ここ重要)

株を売却して、借株を買い手に受け渡す。

行使する。

行使価格は実際の株価の90%のため、確実に10%は儲かる仕組みですが、行使してから株を売却すると自分の売りで株価が下がるため最低10%の利益が確保できない可能性があります。したがって、売りから入れば、株価が下落しても、下落後の株価の90%(行使価格)で株を買うことができるため、最低でも10%の収益を上げることができます。特にアンジェスのように、株価が仕手化すると、まず当初行使価格よりも安い行使価格(修正後)となり(より安く株を購入できる)、次に出来高をともなって株価が上昇すると、行使が一気に進む上に、高く株を売却できるため、予定収益は10%をはるかに超えます。こうなると非常に儲かるディールとなります。

 

5.誰が得をして、誰が損をするのか?

引受先は、確実に儲かります。最近は、証券会社が引受先となりますが、最低でも当初予定調達額の10%は儲かるので(上記の例では、10億円に対して1億円)何としてでもやりたいでしょう。

発行企業は、資金調達ができるので目的は達成できますが、将来的に企業が利益を上げるようになった場合、発行済株式数の増加は資本コスト(配当金など)が上昇し、負担になります。

このスキームは、既存株主の犠牲の上に成り立っています。まず、株式の希薄化(株式数が増える)により、株価は下がります。また利益が出ている企業では、1株当たり利益(EPS)が下がり、PER(株価÷EPS)が上昇し、株価下落要因となります。

6.MSワラント発行企業の発行後の株価は?

MSワラント発行企業の1年後の株価は、80~90%の確率で下落しています。

MSワラントは、過去には悪魔の増資とも言われていましたが、最近ではコストをかけずに素早く資金調達できるため、比較的優良企業も発行するようになりました。しかし、このような安易な増資をするのは、先進国では日本くらいです。