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小野薬品工業(株)【4528】の掲示板 2016/05/26〜2016/05/30

■問われる費用対効果

 オプジーボは医療費の問題でも注目を集めている。

 肺がん治療では2週間に1回点滴をし、投与量は体重に比例する。例えば、体重70キロの男性だと1回約160万円。保険適用(3割負担)で高額療養費制度を使えば、実質負担(所得で異なる)は減るが、70歳未満で年収370万~770万円だと最初の3カ月は月11万円かかる。4カ月目からはさらに下がる。

 国の財政への影響を懸念する声もある。肺がんの新規患者は年約11万人。4月の財務省審議会で、日本の医療費年約40兆円(うち薬剤費約10兆円)に対し、5万人が1年使えば1兆7500億円で「財政を逼迫(ひっぱく)させる」との意見も出た。

 小野薬品工業は今年度、肺がんで使われる患者は1万5千人(平均使用期間は6カ月)で、売り上げは1220億円と想定する。

 九州大の中西さんも「財政破綻(はたん)は大げさすぎる」。投薬をやめる場合も多く、現状では1年続ける人は約2割。一方、どのくらい投薬を続ければよいかわかっておらず、「そこを見極める研究を進めてほしい」。

 日本肺癌学会は、オプジーボを使う場合の詳細な治療指針を年内にまとめる。医療経済の専門家も加え、費用対効果も含めた検討を進めていく。

 オプジーボは胃や食道、肝臓などでも治験が進められ、腎臓は年内に承認される見込みだ。ほかの製薬会社でも同様の仕組みの薬の申請や治験を進めている。(石塚広志、熊井洋美)