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(株)QDレーザ【6613】の掲示板 2021/02/13〜2021/02/14

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billion*** 強く買いたい 2021年2月14日 21:29

網膜投影型のARグラスを開発した「QDレーザ」

 2006年に富士通からカーブアウトし、ナノ結晶技術を生かして高い温度でも安定動作する「量子ドットレーザ」の量産化に成功した半導体ベンチャーであるQDレーザは、小型・超微弱出力のレーザープロジェクターを眼鏡型デバイスに搭載し、目の網膜に直接画像を投影して認識させる「網膜走査型レーザアイウェア」を2018年に商用化。また、2018年10月にNDVが運用するファンドを通じて出資を受けている。現在はさらなる小型化やAR機能を実装する「RETISSAR Display」を販売し、「最終的にはスマートフォンの代わりに使うディスプレイ」(QDレーザ 代表取締役社長 菅原充氏)を目指しているが、その背景にはNTTの研究結果があった。

日本電信電話(以下、NTT)は、PLC(平面光波回路:平面基板上に光の分岐、合波、分波などを行う回路)技術を保持している。この技術は光スプリッタなどに用いられているが、同社といえば光ファイバーも有名だ。しかし、光通信で使用する波長帯域の「光通信波長帯」は、伝送損失などを考慮しなければならない。そのため、フレッツ光などは減損が少ない1260〜1675nmあたりを使用している。

 「光の減衰を気にしなければ可視領域でも使えるのではないか」(日本電信電話 NTT先端集積デバイス研究所 所長 岡田顕氏)と開発したのが「RGBカプラ(超小型可視光合波回路)」だ。1円玉よりも小さい8ミリ程度の基板で特殊なRGB合波手法を採用している。そのサイズからは多彩な応用先が想定できるが、同社はさらなる小型化を目指しているという。

モデレーターが出会ったきっかけを尋ねると、NTTは「2016年ごろ、何らかのイベントでQDレーザが網膜走査型レーザーを展示しており、RGBカプラがコンパクトな光源となれば魅力的では、と考えて提案。2018年4月から(協業の)可能性を探索し、共同実験に至った。(QDレーザは)量子ドットレーザーなど、光に関する深い知識と技術を持っていたため、安心して議論できた。我々R&D側は形あるものとしてディスプレイするのが苦手なため、QDレーザとの協業はありがたい」(岡田氏)と回答した。

 それに対して、QDレーザは協業を通じて「世界的なイノベーションを起こしたい。視覚の再定義に必要なのは要素技術。あまねく使ってもらうため5Gネットワークというインフラを持つ企業との協業は大きな鍵。お世辞ではなくNTTは最適なパートナーだと考えている」(菅原氏)とした。

現時点では研究段階だが、今後の展開についてNTTは「共同実験を通じてRGBカプラを完成し、光源としてQDレーザーのレーザーウェアに搭載したい。ユーザーに装着してもらい、多くの課題に対しては1つ1つクリアしながら進めたい」(岡田氏)と述べると、QDレーザは「そう簡単にはうまくいかない(笑)。(RETISSAR Displayは)奇跡的な製品。(その先に進む上で)きっと苦労はあるが目標に揺るぎはない」(菅原氏)と強い意志を語った。

 同社はレーザー網膜投影技術のロードマップとして福祉や医療で活用をスタート地点とし、すでに日本およびドイツでは臨床試験を実施済み。前述のとおり日本国内は展開済みだが、ドイツでもRETISSAR Displayの製造販売承認を申請し、2019年11月からの発売を目指している。同社は「視力弱者を支援する。眼鏡をかけても0.1程度の視力が0.4程度まで改善する」(菅原氏)という。その先には業務利用やエンターテインメント分野での活用、IoT利用などを目指している。「10年ごとに世界は変わる。情報と人をつなぐという文脈でスマートフォンは完成形ではない。本当の融合を実現する基礎開発を続けたい」(菅原氏)と意気込みを語った。