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(株)ヘリオス【4593】の掲示板 2016/03/12〜2016/04/13

移植用細胞、安価に培養 島根大、3年以内に手法確立へ
2016/3/25 6:03

 島根大学は再生医療に使う細胞を培養で増やす方法の研究開発に乗り出す。同大学発のベンチャー企業(VB)と共同で、4月から材料調達と細胞の加工精製の実験に着手する。3年以内に培養システムの確立を目指す。品質の高い移植用細胞を安価に生産できれば、様々な症例の患者に適用しやすくなる。先端医療技術の普及拡大を通じて地域医療に貢献する。

 研究開発の対象となる「間葉系幹細胞」は脂肪細胞を由来とする。骨や軟骨、血管など様々な組織に分化するとされ、ヒトのiPS細胞と並び再生医療に欠かせない素材だ。島根大は生まれつき骨がもろく全身性合併症につながる難病の低ホスファターゼ症で、すでに同細胞を利用した治療実績がある。

 間葉系幹細胞は希少なため、移植手術の際に細胞を提供するドナーの負担が大きい。人体などから採集した細胞を低コストで加工・培養できれば、適用できる患者数の拡大が見込める。さらに、加工細胞の純度を高める技術の確立を目指す。移植後に体内で定着しやすくなり、治療の安全性が増すからだ。

 島根大は1月、山陰合同銀行などが運営するベンチャーファンドの出資でピューレック(島根県出雲市)を創業した。主に間葉系幹細胞の研究開発に取り組む。島根大医学部付属病院長を務めた小林祥泰同大名誉教授が社長に就いた。

 再生医療に詳しい松崎有未教授の研究室の隣に4月からピューレックが開発用ブースを置く。細胞分析装置、培養器、細胞の種類や大きさで選別する装置「セルソーター」を新たに配備する。島根大学側は大型の培養装置「閉鎖性無菌細胞調整システム」を新技術開発に援用する。

 付属病院から胎盤を提供してもらい、胎盤の組成細胞から間葉系幹細胞を精製する研究も始める。材料の安定供給が狙いだ。付属病院も1月、各診療科で個別に扱っていた再生医療をとりまとめる新組織として「再生医療センター」を創設した。臨床応用など実用化へ向けてピューレックと協力する。

 小林社長は「細菌感染で起こる重症の『全身性炎症反応症候群』など、患者数の多い症例で使えるようにするのが目標」と話す。付属病院の井川幹夫病院長は「最先端の医療技術分野で大学の競争力を高めたい」と説明している。