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ブライトパス・バイオ(株)【4594】の掲示板 2018/05/19

ITK-1の第三相臨床試験結果を受けて、がんペプチドワクチンを絶望視する投稿がありますが、
この治験の前からがんペプチドワクチンが難しいことは20年ほどの研究の積み重ねから十分に分かっていたことです。それでも可能性を求めて、久留米大学・ブライトパス(グリーンペプタイド)は投与前の12種類の抗原に対する治療実施の是非と免疫反応により投与抗原の決定を行うセミテーラーメイド型のがんペプチドワクチンITK-1の研究・開発を進めてきました。昨年の神経膠芽腫での臨床試験、そして先日の化学療法抵抗性前立腺がんでの臨床試験結果では、この方法でもエビデンスのあるがん治療として確立することが難しいことを示しています。

確かに今後ITK-1のサブグループ解析からあくまで保険薬としての申請を目指すかどうかはブライトパスと富士フイルムの経営判断になりますが、詳細なデータの分からない今、我々が判断できることは何もありません。先週末の時点でIRが投資家の問い合わせに個別にITK-1の今後の開発の断念と思われる返答をしている点は先ほどその真意を問い合わせました。詳細データを解析した上でITK-1の開発を資金と時間の両面から諦めるのであれば、それも一つの経営判断だと思います。キーオープンして結果が届いて1,2日でその経営判断が出来ている状況ではないと想像します。

重要なことは、世界中でがんペプチドワクチンの開発競争は今も続いていること、特にネオアンチゲンを標的とした完全個別化がんペプチドワクチンが有望視されていることを忘れてはいけません。ただ、完全個別化がんペプチドワクチンの確立のためにはまだまだ時間が掛かりますから、前段階としてがんペプチドワクチンが有効な患者群を見いだすバイオマーカーの選定が重要になると思います。今回の臨床試験は300症例を超える解析で、その点に関する大きな手がかりを与えてくれるでしょう。もし有効なバイオマーカーがリストアップされてくれば、それを特許化した後ブライトパス・富士フイルムの大きな資産になり、がんペプチドワクチンの実用化を目指す各社に売り込むことができます。悪意でもなければ、完全に失敗した臨床試験というもありません。失敗を活かして何を掴むか重要だと思います。もう一つの側面として、有効性が確立され始めたがん免疫細胞療法(CAR-T細胞療法)のコストが余りに高く、安価ながんペプチドワクチンにはまだまだ欧米を始め世界中で期待が高いことも忘れてはいけません。

アメリカでは今週、Tapimmune社というがんペプチドワクチンを開発しているNSADAQ上場企業 が新規T細胞療法を手掛けるベンチャーと合併し、株価が高騰しています。この2年間でiPS-T, iPS-NKTともパイプラインに組み込んできたブライトパスの永井社長の経営方針はこの競合企業の経営方針とも符合しています。

今後はがんペプチドワクチン単独ではなく、がんペプチドワクチンと免疫チェックポイント阻害剤との併用に力を注ぐという経営判断であれば、それはそれで私個人的には支持します。GRN-1201やGRN-1301はともに免疫チェックポイント阻害剤との併用を目指して設計された個別化がんペプチドワクチンの前段階のがんペプチドワクチンであると理解しています。アメリカのTapimmune社もがんペプチドワクチン単独療法と共に免疫チェックポイント阻害剤とがんペプチドワクチンとの併用療法の第二相試験をしています。今後、ITK-1の臨床試験結果から先述のバイオマーカーでの患者選別も臨床試験に組み込むことが可能になります。ともに日米の早期承認制度下での承認を目指すことになるでしょう。このあたりは会社側が出してきている情報からの私の想像ですので、23日の決算説明会で永井社長が今後の経営方針を説明する内容に注目しています。

明日明後日の値動きが気になるのは仕方ありませんが、こういう大きな流れを投資としてブライトパスに興味を持っている方には理解していただけたらと思い駄文を書き連ねました。長々とすいませんでした。