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(株)ファンペップ【4881】の掲示板 2023/02/22〜2023/03/16

新薬、世界の肥満問題に光 2023/3/7付 日本経済新聞 朝刊

ドイツ・ライプチヒ大学で肥満の原因を研究する研究者。肥満研究の進展が新薬の開発につながっている=AP 美容に出費を惜しまない富裕層の間で最新の薬が話題を呼んでいる。1週間に1度注射するだけで体重が減るというのだ。

米起業家のイーロン・マスク氏もその効果にあずかり、動画共有アプリTikTokではインフルエンサーがこれを称賛する。

だが、この新しい「やせ薬」の効能は美容だけではない。その恩恵を最も受けるのはロサンゼルスやマイアミに住むセレブたちではなく、体重の増加による健康の悪化に苦しむ普通の人々だ。その数は世界で数十億人に及ぶとみられる。

肥満症治療薬は、新しいタイプの「GLP-1受容体作動薬」と呼ばれる今回の薬は実際に効果があるとみられている。デンマークの製薬大手ノボノルディスクが開発した「セマグルチド」(一般名)は臨床試験で約15%の減量効果があることが確認されている。

米国、デンマーク、ノルウェーでは既に「ウゴービ」の商品名で販売されており、他の国・地域でも近く承認される見通しだ。

これより低用量の「オゼンピック」(商品名)は糖尿病治療薬として以前から流通していたが、正規の用途以外の「適用外」で減量にも使用され,そのライバル薬として米イーライ・リリーが開発したGLP-1受容体作動薬は年内に販売が開始される見込みで、効果はウゴービを上回るとされる。

アナリストらはGLP-1受容体作動薬の市場規模が2031年までに1500億ドル(約20兆円)に達する可能性があると予測する。

新しい肥満症治療薬は絶妙のタイミングで登場した。
世界肥満連盟によると、35年には世界の肥満率が50%を上回り、40億の人々が過体重か肥満。これは憂慮すべき傾向だ。
肥満は糖尿病や心臓疾患、高血圧など幅広い健康問題を引き起こし、脳卒中や痛風、様々ながんなど多数の疾病の原因となり得るからだ。

学校や遊び場において子ども達は「太っている」で極めて残酷な心の傷を受ける。

肥満率の高さは国庫や経済全般にも深刻な影響を及ぼす。ある研究者の試算によると過体重や肥満が世界経済にもたらす損失は35年までに年間4兆ドルに達する可能性がある。