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(株)ティムス【4891】の掲示板 2023/05/03〜2023/06/08

  • 2460

    zsq***** 強く買いたい 2023年6月9日 01:10

    >>2457

    農工大蓮見教授の研究成果を生かした次世代の血栓溶解薬を実用化へ

    8分

    2021.07.16

    坂田亮太郎

     日本発のアカデミア創薬としては、異例の大型契約に発展した。東京農工大学応用生物科学科の蓮見惠司教授の研究成果を実用化するため、2005年に設立されたのがティムス(東京・府中市)だ。同社は2021年5月12日、急性期虚血性脳卒中の治療薬候補として開発中のTMS-007について、共同研究先の米Biogen社がオプション権を行使したと発表した。これに伴いBiogen社は一時金として1800万ドル(約20億円)を、さらに今後のマイルストーンとして最大3億3500万ドル(約372億円)をティムスに支払うことになった。上場への道が一気に開けたことを受け、同社の若林拓朗社長に話を聞いた。



    ティムスの若林拓朗社長

    大学発ベンチャー投資に特化したベンチャーファンドを日本で初めて設立した経験を持つ。投資先 の1つがティムスだった

     ティムスは、真菌Stachybotrys microspora由来の生理活性物質の臨床開発を進めている。ベースとなっているのは、東京農工大の蓮見教授の研究成果だ。蓮見教授らは200株以上の微生物ライブラリーから、様々な生理活性物質をスクリーニングしてきた。ティムスは東京農工大が保有する特許の実施権の譲渡を受け、事業を行っている。

     同社のSMTP(Stachybotrys microspora triprenyl phenols)は、線溶系(血栓の溶解)を促進する新規の小分子化合物だ。SMTPは主にメバロン酸やアミノ基などで構成されており、ビタミンEに類似した化学構造を持つ。プラスミノーゲンのフィブリンへの結合とプラスミンの活性化を促進し、プラスミンが血栓を溶解する。健常人で血栓が溶けるサイクルを早める仕組みと同じため、出血リスクが低いという特長を持つ。

    関連記事:農工大蓮見教授、「ティムスとBiogen社の契約は偶然が重なった結果」

    出血リスクを抑える次世代の血栓溶解薬

     臨床開発中のTMS-007は、脳卒中の治療薬として2つの作用機序を持つ。1つは、血栓に集積した前駆体プラスミノーゲンを活性化させ、血栓の溶解を促す作用だ。脳卒中の既存薬である組織プラスミノーゲン活性化因子(t-PA)は、血中に循環しているプラスミノーゲンも活性化させてしまうため、全身の出血リスクが高まることが指摘されている。一方でTMS-007は、血栓に集積したプラスミノーゲンだけに作用するため、出血リスクを抑えることができると考えられている。

     2つ目は、血栓部位での炎症を抑制する作用だ。SMTPには、抗炎症活性を持つアラキドン酸エポキシドの分解を阻害し、神経細胞を保護する役割があると考えられている。

     脳卒中は重篤な脳血管障害だ。全世界で死亡原因の第2位を占め、毎年1300万近くの人が発症し550万人が死亡する(日本国内だけでも年間6万人以上が死亡)。中でも脳への血液供給の閉塞により発症する急性期虚血性脳卒中は、脳卒中の全症例の約85%を占めている。死亡しなくても脳に後遺症が残り、介護が必要となる最大の原因でもある。TMS-007はこのアンメットメディカルニーズを充足すると期待されている。

     現在、治療薬としてほぼ唯一の選択肢であるt-PA製剤「アクチバシン」(アルテプラーゼ)は、発症後4.5時間以内にしか使用できない。そのため先進国においても脳卒中患者の1割程度にしか投与されていない。TMS-007ならその時間を大幅に延ばせる可能性があり、そこに注目したのがBiogen社だった。