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マツダ(株)【7261】の掲示板 2019/10/16〜2019/10/25

マツダ・スバル躍進の原動力 ブランド価値はなぜ大切か

企業価値の8割も占める無形資産
 ブランド価値経営とは、ブランド価値向上を目的とした経営を指す。前回の記事『ネスレなど実践 マーケティングを中核とするH型経営のすすめ』では「マーケティング中核のH型経営」を説いた。まず、これとの関連を理解していただきたい。

 かつては、ブランドはマーケティングの一部分であった。ネーミングやロゴはマーケティングの要素であり、認知やイメージなどはマーケティング活動の結果と捉えられていた。それが1980年代のM&Aブームで、無形資産価値が有形資産価値をはるかに上回ったことで大きな注目を浴びることになった。たとえば、スイスのネスレが英国のラウントリーを買収した時、無形資産割合は83%であったと言われている。ラウントリーは、アフターエイトやキットカットなどの強力なチョコレート・ブランドを有していた。また英国のグランド・メトロポリタンが米国のピルズベリーを買収した時も、その無形資産割合は85%であった。ピルズベリーもまた、オールド・エル・パソやトチノズなどのブランドを有していた。このような無形資産(ブランド)の意義に注目し、それを学術的にまとめたのがデイビッド・アーカーである。

 これ以降、ブランドがマーケティングの上位概念に位置付けられた。ブランド価値向上が経営の目的であり、それを達成する手段がマーケティング(≒経営)である。もちろん、差別化された製品の開発や高品質な製品を効率よく製造する工場運営などはブランド価値向上に必要不可欠であるが、「誰に、何を、どのように」ということが一貫していなければ、それらも宝の持ち腐れになる。ブランド価値向上は経営の目的であると同時に、経営の結果でもある。前回述べたような、マーケティングを中核に置いたH型経営を実践することによってブランド価値は向上する。