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(株)三井E&S【7003】の掲示板 2024/03/09

個人・海外勢、日本株「同時買い」
需給構造に変化の兆し

日本経済新聞 朝刊 マーケット総合 (20ページ)
2024/3/9 2:00
 海外勢が買い上げ、国内個人投資家が売る――。そんな日本株の需給構造が変わり始めた。日経平均株価が最高値圏にあるなか、個人はむしろ信用買いを積み上げている。一本調子の株高を受け、個人の一部は「順張り」に転じつつある。連日大商いの三井E&S株にも変化の兆しが見て取れる。

8日の東京株式市場で日経平均は反発し、前日比90円高の3万9688円となった。前日は日銀によるマイナス金利政策の解除や円高進行への警戒から500円近く下げたが、8日はすかさず押し目買いが入って上げ幅が300円を超える場面があり、相場の強さを印象づけた。

 最近の投資家の買い姿勢を表すのが、船舶用エンジンなどを手掛ける三井E&Sだ。今期業績の引き上げや米国で港湾向けクレーンの引き合いが強まるとの期待を背景に大商いが続く。8日は一時15%高まで買われ約16年ぶりの高値を更新。売買代金は2700億円まで膨らみ、東証プライム市場で首位に立った。

株価の急騰にあわせて信用取引の買いも増えている。同社株の信用買い残は1日時点で約2100万株と、2023年末から倍増した。株価下落を見込んだ信用売りも増えているが、買い残を売り残で割った信用倍率は14倍と高水準だ。

 東海東京インテリジェンス・ラボの鈴木誠一チーフエクイティマーケットアナリストは「通常は株価が急騰すれば信用売りが増えて買いが減るが、三井E&S株は順張り的な買いが入っている」と指摘する。
 同様の傾向は日本株市場全体でも見て取れる。東京証券取引所によると、東京・名古屋2市場合計の信用買い残は1日時点で4兆999億円と、前の週比948億円増。この週は日経平均が812円上げ4万円に迫ったが、むしろ信用売り残は1130億円減った。
 日経平均と信用買い残のグラフを重ねると分かりやすい。これまで日経平均が上げる局面では信用買いが減り、下げると増えてきたが、年明け以降は両者の動きが一致している。東海東京の鈴木氏は「長い上げ相場で逆張りが機能せず、個人も恐る恐る順張りに転換しつつある」とみる。
 個人投資家の逆張り色が薄れた結果、海外勢・個人とも日本株の買い手になる場面が増えてきた。1月後半から2月中旬にかけては3週連続で個人と海外勢が現物株を「同時買い」した。モルガン・スタンレーMUFG証券の古川真クオンツ・ストラテジストは「いままで見られなかった傾向だ。日本株の需給構造が変わってきた可能性がある」と指摘する。
 海外勢の日本株への投資意欲は衰えていない。大和証券は4~8日の5日間、500人余りの海外投資家を招き都内で大規模な日本株フォーラムを開いた。オーストラリアの運用会社ベルアセットマネジメントで世界株ファンドを運用するマット・サディントン氏は、日本企業との面談のために6年ぶりに来日した。
 「株価自体は高くみえるが、PBR(株価純資産倍率)ではまだ割安」(サディントン氏)として、長年指数対比でアンダーウエート(弱気)にしていた日本株の持ち高をニュートラル(中立)に引き上げることを検討しているという。
 海外勢の買いに依存した株高は、恩恵が一部の大型株に偏りやすいうえ外部環境次第ではしごを外される恐れがある。日本株買いの戦列に国内投資家も加わり始めたとすれば、上昇相場はより深く、長いものになりそうだ。
(井口耕佑)