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星光PMC(株)【4963】の掲示板 2020/11/27〜2021/12/21

―環境負荷小さく優れた特性に注目、早期の社会実装に向け政府も後押し―

 気候変動対策が世界的に喫緊の重要課題となるなか、日本でも政府が温室効果ガスの排出量を2050年までに実質ゼロにする目標を掲げ、さまざまな取り組みが進められている。脱炭素というと大量の二酸化炭素(CO2)が発生する火力発電を再生可能エネルギーに転換する 施策などが注目されやすいが、それだけではカーボンニュートラルの達成は難しい。今後は国土の約7割を占める森林を有効活用することも必要となりそうで、新たなビジネスチャンスの可能性を秘めるのが植物由来の「セルロースナノファイバー(CNF)」だ。

●各省の概算要求増額

 CNFは、木材などから得られる木質繊維(パルプ)を1ミリの100万分の1にまで微細化(ナノ化)したもの。植物由来であることから生産・廃棄に関する環境負荷が小さいほか、鋼鉄の5分の1の軽さで5倍の強度を持ち、弾性率は高強度繊維で知られるアラミド繊維並みに高く、温度変化に伴う伸縮はガラス並みに良好、酸素などのガスバリア性が高いといった優れた特性を発現する。環境省では、さまざまな製品の基盤 となる樹脂材料をCNFで補強した活用材料(複合樹脂など)を使用することで、CO2の効果的な削減を図ることを目的としたCNF性能評価モデル事業を推進中。CNF活用材料で部品などを試作し、実機に搭載することで製品としての信頼性、CO2削減効果などの性能評価を実施するとともに、早期の社会実装に向けた導入実証を行っている。

 CNFは大気中のCO2を吸収・固定した木材などが原料であることから、カーボンリサイクルの一端を担うことが可能で、炭素循環社会の実現に有効とあって政府は市場拡大を後押しする構えだ。経済産業省は製造プロセスにおけるコスト低減や製造方法の最適化、量産効果が期待できる用途に応じたCNF複合化・加工技術などの開発を促進するため、22年度の概算要求で8億3000万円(21年度当初予算は6億3000万円)を計上。環境省は概算要求に、革新的な省CO2実現のための部材(GaN:窒化ガリウム)や素材(CNF)の社会実装・普及展開加速化事業として40億円(同18億円)を盛り込んだ。

●着々と進む用途開発

 企業でもCNFの特性を生かし、多方面で新たな機能の付加につなげようと技術開発が活発化しており、例えば大王製紙 <3880.T> は18年から部分的にCNF化したセルロース(濃度10%)複合樹脂ペレットのサンプル提供を開始し、20年にはセルロース濃度を55%にまで高めたCNF複合樹脂の開発に成功。現在は用途に応じた多様な形態で提供しており、自社商品であるトイレ掃除用ペーパークリーナーへの配合や卓球ラケット用部材、レースカーの車体内外装へ の実装といった実績を積み上げている。

 また、王子ホールディングス <3861.T> 、北越コーポレーション <3865.T> 、阿波製紙 <3896.T> 、レンゴー <3941.T> 、第一工業製薬 <4461.T> 、星光PMC <4963.T> なども用途開発を進めており、目が離せない。…