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NANO MRNA(株)【4571】の掲示板 2017/03/28〜2017/04/03

>>783

このレビューの論旨をザックリ要約すると以下のようになると思います。

EPR効果は当初考えられていたような単純なものではない。EPR効果がどの程度実際に妥当するか否かは,癌種,癌のサイズ,癌の増殖速度,癌の解剖学的な位置,癌の進行度,癌の周りに存在する血管の密度,体積,分布等々の生体環境の複雑さ,多様性によってかなり異なる。
ところが,現状ではDDS癌治療薬開発がこれら生体環境の複雑さ,多様性を十分に反映したものになっていない。現状ではこれら生体環境の複雑さ,多様性を十分に反映することなく,まずはDDS製剤(片岡ミセル,アキュリンなど)を決めてしまってから,効きそうな癌にある意味強引にあてはめて開発を進めてしまっている。これでは成功確率は低いであろう。成功確率を高めるためには,DDS製剤を最初から決めつけるのではなく,ターゲットとなる患者の生体環境を踏まえた上でそれにふさわしいDDS製剤を設計・選択すべきであろう。そのためには臨床試験を行う際には効きそうな患者選択基準を今よりも詳細に設定すべきであるし,よりふさわしいDDS製剤を設計・選択するためには各種DDS会社,研究機関の協同,協力も必要となるであろう。

さらに動物実験の手法も改善する必要がある。現状のように多額の金や時間をつぎ込んでからp2やp3で失敗するのでは資源の無駄遣いである。だめなDDSを振るい落とすはずの動物実験が上手く機能していない。現状の動物実験ではヒト由来のがん細胞・組織を免疫不全マウスに移植したxenograftモデルを用いている。しかし,このxenograftモデルは血管の密度や癌の増殖速度等の点において,EPR効果にとって実際よりもかなり有利なものになってしまっている。実際に効果の無いDDSが動物実験で好成績をたたき出すのはこのためである。実際の患者の生体環境の複雑さ,多様性をできるだけ反映するような新たな動物実験モデルを採用すべきであろう。