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(株)オープンハウスグループ【3288】の掲示板 2022/12/30〜2023/07/14

プロポーズで、婚約指輪代わりに不動産を贈る人たちが現れ始めた。あまり使わないダイヤの指輪や1日限りの大がかりな結婚式より、2人の生活のためにお金を使いたい――。オープンハウスグループは堅実派に向けて新しいプロポーズの形として婚姻届ならぬ「婚家(こんいえ)届」の提供に乗り出した。コスパ(コストパフォーマンス)重視の今どきカップルを追った。

「それなりの値段はするのに、結婚指輪と違って常に身につけるものではないので、お金が無駄になっているように感じてしまう」。東京都に住む会社員の女性(24)は婚約指輪への憧れがない。「パートナーが億万長者ならもらえるものはもらいます」と笑うが「そもそもプロポーズでお金をかけてほしいという気持ちがない。もし結婚指輪にお金をかけるぐらいなら実用的なモノの方が喜べると思います」と訴える。

婚約指輪はかつて「給料の3カ月分」が相場といわれ、憧れを抱く人も多かった。ただ、足元では実用性が低いと捉える人も増えているようだ。結婚情報サイト「みんなのウェディング」によると、婚約指輪をもらわなかった花嫁は2月の調査で31.1%と、2022年に比べ4.4ポイント上昇した。

みんなのウェディングニュース編集部の舟橋美咲さんは「憧れを持つ女性がいる一方、指輪より新居や旅行にお金をかけたい現実的な人も増えてきた。指輪などの記念品が必要な結納をするカップルも全体の1割ほどまで減っています」と指摘する。


持ち分やオプション、家具に充てるカップルも(オープンハウスグループの戸建て)
代わりに身につける機会の多い「婚約ネックレス」や腕時計などを渡す人が目立ち始めた。最近じわりと増えているのがさらに実用的な「不動産派」だ。

6月に入籍した愛知県在住の男性(27)は婚約指輪の代わりに、新居となるマンションの持ち分や家具などを妻(24)に贈った。「妻に『婚約指輪はいらない。普段使うものにお金を使った方がいい』と言われた」という。

浮いたお金は玄関に大きな鏡やセンサーライト、高機能タイルを取り付けるといったマンション設備のグレードアップや、約50万円のフルオーダーカーテンなどにあてた。「もともと家具や家電は好きな方。2人とも働いているので、帰ってきたときの居心地は大事」と振り返る。


「婚家届」ではプロポーズの際に家の持ち分など贈る内容を記した誓約書をつくる
不動産プロポーズ派に照準を当てたサービスも動き始めた。オープンハウスグループは6月から、プロポーズ時に新居を買うことを約束する誓約書「婚家届」の提供を始めた。弁護士が監修した誓約書を使い「購入する家の持ち分の譲渡」「家の設計時のオプション選択権」「引っ越し後の家具」から約束する内容を選んで、パートナーに贈る。

サービスを企画した同社の松沢佳南さんは「身の回りでも高い婚約指輪はいらない、結婚式もこぢんまり、という意見が多くなっているのを感じ、実用性重視派が求めているものを作れないかというのがきっかけでした」と明かす。「結婚を機に住宅について考える方々も多くいらっしゃるので、二人の生活を充実させる『家を贈る』という選択肢を提案させていただくことにしました」

ブライダル産業のコンサルティングを手がけるTIPLOG(チップログ、東京・大田)と連携し、新居の約束で愛を誓い合う場も用意する予定だ。チップログはもともと婚姻届を出した日に教会などで2人の時間を楽しめるサービス「サムデイウエディング」を提供する。オープンハウスグループと連携したセレモニーではチャペルなどの特別な場所で美しい箱に入った婚家届をパートナーに渡し、レストランで2人きりの食事を楽しんでもらう。

チップログの高津守最高経営責任者(CEO)は「結婚式を挙げないナシ婚層への提案」という。「せっかくの大事なイベントなので、しかたなくではなく、決意の証となるもので盛り上げたい」(松沢さん)。夏めどにサービスを始める方針で、希望するカップルを募集中だ。


「婚家届」では書面の内容に応じてカタログなどを添えてフィアンセに贈る
6月下旬に入籍したばかりの福岡県在住の男性会社員(23)は婚家届のセレモニーをしてみたいと語る。3月に1つ年下の彼女と住む家を購入。新居の準備にお金がかかるため、結婚式はしないことにした。

「ずっと使うものにお金をかけられた。いいお金の使い方ができた」と納得しているものの「式をしないので、代わりに愛を誓う場のようなものがあればいいなと思っていた」。大がかりな結婚式に時間やコストはかけたくないが、思い出に残るセレモニーはしたいと考えているカップルに需要はありそうだ。

女性の社会進出が進み、カップルの考え方には変化もみられる。みんなのウェディングニュース編集部の西村直美さんは「2人で稼いだ2人のお金をどう使うか、と考える世代なのかもしれない」とみる。住宅価格や物価の高騰が止まらない中、お金のかけどころを取捨選択する動きは今後も加速しそうだ。