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CYBERDYNE(株)【7779】の掲示板 2021/02/19〜2021/02/24

>>1015

※ITmedia ビジネスオンラインより引用

『ロボット推進事業関係者が語る、「介護ロボット」が普及しない理由』

2010年から全国に先駆けて介護ロボットの普及事業に取り組んできた公益社団法人かながわ福祉サービス振興会の報告書によれば、その期待とは裏腹に介護現場ではロボットの導入が進んでいないという実情がある。同振興会で介護ロボット推進本部 グループリーダーを務める関口史郎課長は「介護現場側とロボット開発側の間に大きな溝がある」と強調する。

介護は生産工場のようにはいかない
神奈川県は相模原市 、平塚市、 藤沢市、海老名市などの地域を「さがみロボット産業特区」と位置付け、国内でも特にロボット産業の育成に力を入れている。同振興会は業務を受託し、介護現場の問題解決とロボット産業の育成を目的に活動する。元々は、ロボット産業の育成というビジネス目的が強かったが、日本の将来を見たとき、介護分野でロボットのニーズを生かせるのではないかと考え、産官学の連携で介護ロボット普及推進事業が始まったという。

同事業に取り組んで5年が経つが、「広く普及していると言える状況ではない。現場で高評価受けているロボットは数少ない」と関口氏は嘆く。

一般的に、介護ロボットが普及しない原因は価格が高いといった経済的な側面が大きいと考えられていたが、関口氏によれば、今の状態ではたとえ安価になったとしても介護ロボットの普及は難しいという。機能面でも現状では現場ニーズとの間に開きがあるからだ。

介護施設における職員の仕事は多岐に渡り、分業化できない上に、介護対象者によってやり方が変わるなど変則的。工場の生産ライン現場のように業務全般をロボットに置き換えて自動化することは極めて難しい現状があるからだ。

例えば、介護現場で有効だとされているパワーアシストと呼ばれる装着ロボット。確かに人を抱えるときなどに効力を発揮するが、いったんそれが終わればすぐ装着ロボットを取り外して別の仕事に取り掛からなくてはいけない。取り外しに時間もかかる。だからといって、人を持ち抱えるような仕事だけをひたすらしていればいいということなどない。一機種のロボットにできることは限られており、部分的には役に立つが一日全体の仕事を通して考えると使い勝手の悪い製品になる。

つづく

  • >>1025

    また、介護は必ずしも業務の効率化が歓迎される職場ではない。介護対象者へのホスピタリィも重要だからだ。

    「相手は人間。工場の製品のようにロボットが機械的に作業することはできない」(関口氏)

    さらには、ロボットが技術的に高性能であることで、介護現場では使いこなせていないという状況に陥っている。介護現場のスタッフは機械に対するリテラシーが高いわけではないので、運用技術を習得するまでに相当な時間がかかる。まとまった時間を確保しようとしても、介護現場は多忙を極める。「そんなことをしてまでロボットを使うメリットはどこにあるのかと、使う側が意欲を失ってしまう」と関口氏は話す。

    冷める介護関係者
    介護現場と開発者、行政の間のマインドギャップも生じている。

    「開発者や行政は介護分野の問題をロボットで解決したいと思っているが、介護現場はそう思っていない。介護は人がやるものという意識が強い担当者もいるからだ。例えば、介護ロボットに関するセミナーを開いても介護現場の方の参加は少ない。参加するのはビジネス目的の強い企業などが多い。行政や企業、開発者がロボットに熱くなっていても肝心の介護現場は冷めている」(関口氏)

    いくら行政や開発者が介護分野の問題をロボットで解決しようと考えていても、介護現場が必要性を感じなければ普及は進まない。こうしたマインドのギャップも無視できない課題である。

    現場を知ってから開発すべき
    このようにさまざまなギャップが生じる背景には、開発者側が「介護現場の問題解決」よりも、「新しい技術を認知させるための商品化」を目的にロボットを開発している側面が強いからだ。あくまでロボットを普及させる手段として介護現場を選んでいるという開発者が多い。

    こうした点からも、開発者側は商品化を目的に「技術先行」の開発を進めてしまい、現場のニーズとはかけ離れた製品になっているという。

    「開発者の多くは介護現場の全体を見ていない。業務の一部分だけを見てロボットを作っている。提案としては、開発する側が実際に介護の現場で働いてみて、スタッフが一日どんな動きをするのか、よく観察した上で開発するべきだ」(関口氏)


    つづく