ここから本文です
Yahoo!ファイナンス
投稿一覧に戻る

川崎汽船(株)【9107】の掲示板 2023/02/07〜2023/02/08


川崎汽船、自己資本比率トップ70%。自己株式 取得上限9割完了
 川崎汽船の財務内容が飛躍的に強化されている。第3四半期(2022年4―12月期)の自己資本比率(ワード参照)は70%と海運大手3社の中でトップ。自己資本も1兆4773億円と22年3月期の8846億円に比べ67%増加した。今期の株主還元政策として進めている自己株式の取得についても今期の株式ベースの取得上限に対し90%まで進捗(しんちょく)。期末に向け株主還元政策を進める見通しだ。

 22年12月末時点の日本郵船の自己資本比率は63%、商船三井が同54%。各社とも一般的な企業の安定水準とされる20―50%を上回っている。

 川崎汽船の財務内容は、海運大手3社の中で有利子負債の絶対額、DEレシオ(負債資本倍率)、自己資本比率の各主要指数で最も安定度が高い数値を示している。

 長期、短期の借り入れ、リース債務など外部からの借り入れを示す有利子負債は第3四半期時点で3757億円と日本郵船(7287億円)、商船三井(1兆1091億円)の中で最も少ない。一方で現金・預金は3328億円と22年3月期末の2473億円に対し855億円増加した。

 有利子負債が自己資本に対しどのくらいの割合かを示すDEレシオは0・25倍と一般的な企業の安全性を図る1倍を大きく下回っている。海運大手で比較しても日本郵船の0・30倍、商船三井の0・58倍と比べても有利子負債比率が最も低い。

 川崎汽船は今期の株主還元政策として自己株式取得を、取得価額の総額1000億円、取得する株式総数3523万6000株をそれぞれ上限とする自己株式の取得計画を公表済み。23年1月末時点で取得価額の上限ベースで784億円(78・4%)、取得株式の上限ベースで約3200万株(90・2%)までそれぞれ取得を完了した。

 取得した自己株式については原則、消却を予定している。自己株式の取得・消却を通じて株価の価値を向上させ、株主還元政策を進める方針だ。

 海運大手3社の財務内容は好調な期間損益を背景に21年から良化に転じている。最大の要因は持ち分法利益で海運大手3社が出資するオーシャンネットワークエクスプレス(ONE)の利益の取り込みに成功したことにある。

 一方で、各社の本体の実力を示す営業利益も不定期船、自動車船、タンカーなど各部門の業績が好調に推移。ONEからの配当もあり、純現金収支も大きく改善している。

 来期以降、コンテナ船事業の収益低下が懸念されている。各社が過去2年間で築いた強固な財務基盤を背景に、投資計画をどう進めていくのかが注目される。

 【ワード】

 自己資本比率 企業の財務の安全性を分析するために用いられる指標。総資本における自己資本の比率を指す。自己資本比率が50%の場合、企業の総資本のうち全体の半分は返さなくてよい自己資本で充足されており、企業の財務の安定性は高いことになる。