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任天堂(株)【7974】の掲示板 2016/09/10

セクターコメント 任天堂 ① 楽天証券経済研究所アナリスト 今中能夫 2016年9月9日

●楽天証券の投資判断は変更なし

任天堂についての投資判断は、8月19日付けアナリストレポートに記載した目標株価レンジ35,000~37,000円、株価レーティング「A」を維持します。

実際には、2017年3月期については、会社予想、楽天証券予想の両方に対して、下方修正要因よりも上方修正要因のほうが多くなっています。8月に発行したアナリストレポートの業績予想とその前提が表2、3ですが、今期のスマホゲームの前提には、既に実際の予定との乖離が生じています。今年のクリスマスシーズンに「マリオ」のスマホゲームが出るとは想定していませんでした。表2の業績予想の中では、「マリオ」のスマホゲームは2017年1-6月に配信開始されると想定し、業績予想には2018年3月期から反映されるとしていますが、この考え方は修正しなければなりません。

ただし、「マリオ」の威力は大きいため、私としては、2Q決算の中身と、それを踏まえた上での会社側の考え方を確認した上で、再度業績予想と株価予想を考えたいと思っています。

ここでは、足元の業績変動要因をチェックしたいと思います。まず、下方修正要因は、営業利益、経常利益ともに円高です。ただし、楽天証券予想の前提は、2017年3月期平均で1ドル=102円、1ユーロ=115円、期末は1ドル=100円、1ユーロ=113円としていますので、これはほぼ織り込み済みです。

「どうぶつの森」「ファイアーエムブレム」の延期も一応下方修正要因にはなります。

●「スーパーマリオラン」の収益寄与は大きいと思われる

一方、上方修正要因の第一は「スーパーマリオラン」です。最初はアップストア向けのみですが、いずれはグーグルプレイでも配信されると思われます。その場合のアップストア、グーグルプレイ向けを合わせた最大潜在顧客数は、ポケモンGOのダウンロード数5億人となると思われます。

ここからはあくまでも単純な試算ですが、この5億人のうち、iPhoneからの「スーパーマリオラン」のダウンロード数を最大1億人として、その60%、6,000万人がマンスリーアクティブユーザー数となり、更にこのうち50%が月間500円課金すれば、月間150億円の課金収入となります。2017年1-3月分を今期分とすると、今期の課金売上高は450億円と試算されます。任天堂の売上高450億円のうち、推定約33%がアップルの決済手数料で、それを除いた正味売上高のうち、10~20%をディー・エヌ・エーの取り分と仮定すると、任天堂の正味売上高は240~270億円となります。サーバー費用などのコストを考えても200億円以上の営業利益が出ると試算されます。

「どうぶつの森」「ファイアーエムブレム」の今期分の利益をほぼゼロとしても、今期200億円以上の営業利益がスマホゲームから稼げると試算されます。注意したいのは、「ポケモンGO」のダウンロード数が5億人と大きくなったことで、任天堂の潜在ユーザーの数も巨大なものになったということです。

●3DS用ソフトも好調が予想される

「ポケモンGO」のダウンロード数5億件(人)の半分以上は継続的に「ポケモンGO」で遊んでいると考えられます。これを考えると、11月発売の3DS用「ポケットモンスター サン/ムーン」はかなりの人気ソフトになることが予想されます。年度内で1,500~2,000万本以上が実現するかもしれません。またそれに伴い、3DSハードが会社予想以上に売れて、それが他の3DS用ソフトの売り上げ増加に結びつくという「好循環」も予想されます。

「ポケモンGOプラス」についても、実需は多いと思われます。会社予想の販売個数は不明で、会社側は供給能力を増やすには限界があるとコメントしていますが、上方修正要因になる可能性もあると思われます。

なお、ポケモンGOの課金売上高は、ナイアンティックと共同開発した株式会社ポケモンに対して一定率が収益配分されると思われます。そして株式会社ポケモンの当期純利益の32%が任天堂の持分法投資利益に計上されます。表2ではポケモンGOの任天堂の持ち分法利益に対する寄与を110億円と試算しています。実際にどうなのか、2Q決算を確認したいと思います。

任天堂(株)【7974】 セクターコメント 任天堂 ①  楽天証券経済研究所アナリスト  今中能夫 2016年9月9日  ●楽天証券の投資判断は変更なし  任天堂についての投資判断は、8月19日付けアナリストレポートに記載した目標株価レンジ35,000~37,000円、株価レーティング「A」を維持します。  実際には、2017年3月期については、会社予想、楽天証券予想の両方に対して、下方修正要因よりも上方修正要因のほうが多くなっています。8月に発行したアナリストレポートの業績予想とその前提が表2、3ですが、今期のスマホゲームの前提には、既に実際の予定との乖離が生じています。今年のクリスマスシーズンに「マリオ」のスマホゲームが出るとは想定していませんでした。表2の業績予想の中では、「マリオ」のスマホゲームは2017年1-6月に配信開始されると想定し、業績予想には2018年3月期から反映されるとしていますが、この考え方は修正しなければなりません。  ただし、「マリオ」の威力は大きいため、私としては、2Q決算の中身と、それを踏まえた上での会社側の考え方を確認した上で、再度業績予想と株価予想を考えたいと思っています。  ここでは、足元の業績変動要因をチェックしたいと思います。まず、下方修正要因は、営業利益、経常利益ともに円高です。ただし、楽天証券予想の前提は、2017年3月期平均で1ドル=102円、1ユーロ=115円、期末は1ドル=100円、1ユーロ=113円としていますので、これはほぼ織り込み済みです。  「どうぶつの森」「ファイアーエムブレム」の延期も一応下方修正要因にはなります。  ●「スーパーマリオラン」の収益寄与は大きいと思われる  一方、上方修正要因の第一は「スーパーマリオラン」です。最初はアップストア向けのみですが、いずれはグーグルプレイでも配信されると思われます。その場合のアップストア、グーグルプレイ向けを合わせた最大潜在顧客数は、ポケモンGOのダウンロード数5億人となると思われます。  ここからはあくまでも単純な試算ですが、この5億人のうち、iPhoneからの「スーパーマリオラン」のダウンロード数を最大1億人として、その60%、6,000万人がマンスリーアクティブユーザー数となり、更にこのうち50%が月間500円課金すれば、月間150億円の課金収入となります。2017年1-3月分を今期分とすると、今期の課金売上高は450億円と試算されます。任天堂の売上高450億円のうち、推定約33%がアップルの決済手数料で、それを除いた正味売上高のうち、10~20%をディー・エヌ・エーの取り分と仮定すると、任天堂の正味売上高は240~270億円となります。サーバー費用などのコストを考えても200億円以上の営業利益が出ると試算されます。  「どうぶつの森」「ファイアーエムブレム」の今期分の利益をほぼゼロとしても、今期200億円以上の営業利益がスマホゲームから稼げると試算されます。注意したいのは、「ポケモンGO」のダウンロード数が5億人と大きくなったことで、任天堂の潜在ユーザーの数も巨大なものになったということです。  ●3DS用ソフトも好調が予想される  「ポケモンGO」のダウンロード数5億件(人)の半分以上は継続的に「ポケモンGO」で遊んでいると考えられます。これを考えると、11月発売の3DS用「ポケットモンスター サン/ムーン」はかなりの人気ソフトになることが予想されます。年度内で1,500~2,000万本以上が実現するかもしれません。またそれに伴い、3DSハードが会社予想以上に売れて、それが他の3DS用ソフトの売り上げ増加に結びつくという「好循環」も予想されます。  「ポケモンGOプラス」についても、実需は多いと思われます。会社予想の販売個数は不明で、会社側は供給能力を増やすには限界があるとコメントしていますが、上方修正要因になる可能性もあると思われます。  なお、ポケモンGOの課金売上高は、ナイアンティックと共同開発した株式会社ポケモンに対して一定率が収益配分されると思われます。そして株式会社ポケモンの当期純利益の32%が任天堂の持分法投資利益に計上されます。表2ではポケモンGOの任天堂の持ち分法利益に対する寄与を110億円と試算しています。実際にどうなのか、2Q決算を確認したいと思います。