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三菱重工業(株)【7011】の掲示板 2022/09/29〜2022/10/07

三菱重工などは2020年代後半に着工し、30年代半ばに完工することを想定している。設計後、安全性が原発の新規制基準に適合しているかを審査する国の原子力規制委員会に25年までに新設許可申請を出すとみられる。

 どの電力会社がどこに次世代原発を新設するかは未定だが、政府内で最有力候補地となっているのは、関電の美浜原子力発電所(福井県美浜町)だ。1、2号機は廃炉作業中で、3号機は運転開始から40年を超えている。さらに先をにらんだ運転延長の可能性も残るが、老朽化もあり、関電にとっては地元自治体の合意を得た上で新型原発に置き換えることも選択肢となる。

デブリ抑止などで新技術
 三菱重工などが共同開発するのは出力120万キロワットの新型PWR。基本構造は現行プラントと同じで、炉内で発生させた高温高圧の熱水を蒸気発生器に送り込み、蒸気の力でタービンを回す。新型炉は11年の福島第1原発事故などを踏まえて安全性を高めたのが特徴で、緊急時の対応力に優れるとされる。

 事故で原子炉を冷やせない状態に陥り、燃料が溶け出してもそれを受け止める「コアキャッチャー」を備える。格納容器から溶けた燃料があふれ、デブリ(冷え固まった溶融核燃料と溶融金属との混合物)にならないようにする。

放射性物質を原子炉内に封じ込めるシステムも取り入れる。キセノンなど希ガスが万が一ベントから漏れても、二重に施された特殊フィルターがガスを吸着。濃縮して液化した上でタンクに貯留する。

 原発は非常時、「止める」「冷やす」「閉じ込める」のオペレーションが欠かせない。新型PWRでは電源機能を喪失しても自動停止したり、冷却したりする機能も大幅に強化する。

新型原発で事業基盤を再構築
 日本では原発の運転期間は、原則40年、延長によって最長60年と定められている。今あるすべての商用原発を60年延長運転したとしても、50年時点では現在の33基から23基にまで減少。新増設しなければ、さらに減少の一途をたどる。

 化石燃料を燃やす火力発電所の新増設は望めず、太陽光発電や風力発電などを増やしたとしても天候に左右されるとあって、安定電源にはなりにくい。このため、電力業界には「今のうちから原発の新増設の計画を立てなければ、40年以降、電力システムはかなり不安定になる」との危機感がある。

三菱重工は次世代原発の開発プロジェクトを通して技能継承を図る(同社の技能訓練の様子) 三菱重工にとっては10年以上ぶりの新設工事となる。同社が国内で手掛けた原発は09年に稼働した北電の泊原子力発電所3号機(北海道泊村)が最後だ。

 三菱重工は、福島事故後に定められた原発の「新規制基準」に対応した安全対策工事やアフターサービスで、世界的にも競争力があるエンジニアリング事業を維持してきた。他方、新増設のプロジェクトがない中、工事現場での技能継承や機器・部材のサプライチェーン(供給網)の綻びは広がっている。

 新増設はそれらを食い止める機会となり、新型PWRのEPC(設計・調達・建設)を通して原発事業の基盤を再構築する。

エネルギー危機の欧州は原発回帰
 エネルギー危機に陥っている欧州では原発回帰が進む。20年超の間、新増設がなかった英国は、30年までに最大8基を新設する計画を発表。フランスも50年までに6基を新設する計画を打ち出した。ドイツは22年までの稼働を予定していた原発について、23年以降も運転できるよう見直しを進めている。