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マクセル(株)【6810】の掲示板 2019/07/02〜2019/07/30

マクセルHD、「130億円大還元」の真相は

先週までの2カ月間、マクセルホールディングスの「大還元」が株式市場の話題を集めた。普段は配当を出していない4~6月期末に、今年は一時的な特別配当との考え方で250円を株主に還元。配当総額は約130億円と前期の純利益(53億円)の2.5倍、年間配の7倍にあたる大盤振る舞いだ。「物言う株主」とみられる企業が株を取得するなどの事情があったようだが、勝田善春社長によると「以前から株主還元を考えていた」という。

英国の2人組ミュージシャンのワム!、山下達郎、TM ネットワーク――。1980年代前後、有名音楽家を相次ぎ起用した、カセットテープのテレビCMはお茶の間のおなじみだった。日立マクセルの社名だった1985年3月期には営業利益367億円と、19年3月期の7倍を稼いでいた。現在の主力製品は自動車や電子部品向けの電池やレンズなどだ。電池はカセットテープの粉末材料技術、レンズはディスクの光学技術と、当時の強みが生きている。

ただし最近は安定株主の不在、資本効率の低さ、業績不振という3つの課題に直面していた。

同社は長らく日立製作所の上場子会社だったが10年にいったん完全子会社となり、14年に日立が大半の株式を手放す形で再上場していた。現在の日立の持ち株比率は3%だ。バランスシート上では過去の利益が積み上がり、18年3月期は自己資本比率が71%、現預金は総資産の3割弱にあたる459億円あった。19年3月期はゲーム機向け電池が振るわず、連結純利益は53億円と前の期より25%減った。

そこに目を付けたのが、投資家の村上世彰氏の資産を運用する南青山不動産(東京・渋谷)などだ。18年秋から株の取得を始め、4月には15%を保有した。企業統治に詳しいIBコンサルティングの鈴木賢一郎氏は「ここで何らかの還元策を打たないと、さらに旧村上ファンド系が株を買い増す可能性があった」と指摘する。130億円の還元は「物言う株主」のためだったのか。マクセルHDの説明はこうだ。

投資家からは以前から余剰資金の使い道について再三考えを聞かれていた。そこでまず資金を振り向けたのがM&A(合併・買収)だ。前期には5社を合計約340億円で取得した。家電製品や電設工具メーカーの泉精器製作所(182億円)や、日立のリチウムイオン電池事業(101億円)が対象になった。