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(株)東芝【6502】の掲示板 2017/09/01

けっこう長い記事ですが、
なかなか面白かったですよ。
お暇つぶしにどうぞ。


日米韓連合にアップルも参加するというニュースが飛び込んできました。というのもその時点ではKKR・WD連合に独占交渉権が与えられる寸前であり、そうなると日米韓連合の目は完全に消えるため、連合を取りまとめるベインキャピタルが「とにかく必死に食い止めた」だけです。

 確かにかなり以前にはアップルの名前も出ていましたが、現時点で実際に「アップルが何と言っているのか」は誰にもわかりません。

 しかしアップルの名前を聞いた瞬間に東芝の現経営陣が舞い上がり、本日(8月31日)の取締役会で予定していたKKR・WD陣営への独占交渉権付与を見送り、3陣営(KKR・WD連合、日米韓連合、鴻海グループのようです)との交渉を継続するとなりました。

 とりあえずベインキャピタルの「乾坤一擲」が効いたわけですが、それでも売却を差し止めているWDを抱え込んでいるKKRの優位は動かないはずです。

 それにしても産業革新機構と政策投資銀行はKKR・WDと日米韓の両連合に首を突っ込んでいるわけですが、各陣営には守秘義務が課せられているはずで「どうするのだろう?」と思ってしまいます。まあそれだけ「都合のよい財布」なので大事にされるのでしょうね。

 ベインキャピタルがそこまで必死になるのは(KKRも同じですが)、何度も書いたようにLBOファンドだけが「とんでもなく儲かるスキームになっている」からです。また決して表には出てきませんが、東芝を含む各陣営には複数のアドバイザーがついており(ほとんど外資系です)、数百億円規模の報酬を「山分け」するはずです。

 この報酬は、買い手となる特別目的会社に7000億円を融資する邦銀主力行も「たっぷりと」分け前にあずかります。銀行団が半導体事業の売却を強硬に進める理由には、売却代金で融資を回収する以外、(主力行だけですが)この「たっぷりの」報酬もあるはずです。

 しかし実際問題として、仮に9月中にどこかの陣営と正式に売却契約が締結できたとしても、すでに債務超過を解消しなければならない2018年3月末まで半年しかなく、その間に日本だけでなく世界各国との独占禁止法による審査をクリアしなければなりません。

 これくらいの大型案件ともなると6か月で(とくに中国政府の)審査がクリアできることは「すでにほとんど奇跡」となっているはずです。

 しかし(どこかの陣営と)締結してしまった売買契約は取り消せないため(仮に取り消し条項が盛り込まれていたとしても数千億円規模の違約金となります)半導体事業をそのまま手放すことになり、さらに(昨日付け記事に書いたように)5000億円規模の税金を支払い、2018年3月末までに売却が完了せず(独禁法の審査をクリアできず)、東芝は上場廃止となる恐れがあります。

 これが冒頭に書いた「最悪のシナリオ」です。

 東芝は2016年3月期に東芝メディカルをキャノンに売却した時、実際に独占禁止法の審査が終了していなかったにもかかわらず強引に売却益を計上しています。この時は計上しなければ上場廃止という瀬戸際ではありませんでしたが(それでも待ったなしとなっていたウェスティングハウスの一部減損ができました)、今回も東証による「お目こぼし」があるかどうかはさすがに微妙です。

 つまり何が何でも半導体事業を売却しようとしている東芝の現経営陣も銀行団も、すでに債務超過回避(上場廃止回避)が間に合わない可能性を十分に認識しているはずですが、それでも強引に売却しようとしているわけです。

 これも書くのは最後としますが、産業革新機構と政策投資銀行が(KKRでもベインキャピタルでも)LBOファンドやアドバイザーや邦銀主力行に大儲けさせるためだけに提供する合計6000億円で東芝の第三者割当増資を引き受ければ、それで少なくとも上場廃止だけは回避できます。

 半導体事業を確保しておけば、2018年3月末時点の債務超過は4100億円程度となるようです。確かに東芝に入る現金は少なくなり、銀行の融資が十分に回収できなくなりますが、銀行も慈善事業で東芝に貸し付けたわけではないためリスクはあるものと理解すべきです。それがいやならDES(貸付債権の株式化)もあるはずです。

 繰り返しですが、東芝の半導体事業売却についてはこれで最後とします。これ以上書いても無駄のような気がするからです。