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(株)東芝【6502】の掲示板 2017/05/17

●なぜ東芝は決算短信を「開示」しなかったのか?

 四半期報告書や有価証券報告書は、上場企業にとって法的に作成を義務づけられた書類となる。
提出期限は先述の通りだが、財務局から承認を得られれば提出期限を延長することはできる。
しかし、その承認を必ず得られるとは限らない。延期の承認を得られなかった場合は、
証券取引所に報告書を提出できずに一発で「上場廃止」になるリスクもある。

 東芝が2016年度第3四半期の四半期報告書(≒決算)提出において、3度目の延期を申請せず、
独立監査人の結論を待たずに発表したのは、上場廃止のリスクを少しでも減らすことを
重視した結果であると思われる。

 一方、同社が今回の通期決算で決算短信を開示せず、代わりに決算の「見通し」のみを
発表した大きな理由として、独立監査人であるPwCあらた監査法人(PwCあらた)による
監査作業が完了していないことが挙げられる。

 決算短信は、決算を迅速に開示するという目的から独立監査人(監査法人)からの
レビュー・監査対象ではない。そのため、独立監査人によるレビュー・監査作業が
完了していない状態でも開示はできる。

 ただ、一般的には独立監査人によるレビュー・監査作業が完了した状態で
決算短信を出す企業は多い。また、完了前に出す場合は、企業と独立監査人との間に
大きな意見相違がないことが前提となる。

 もしも、同社が監査作業完了を待たずに通期決算短信を開示すれば、
PwCあらたとの対立が深まり、法定期限である6月30日までに2016年度の有価証券報告書を
提出できない可能性が高まる。一方で、決算短信を出さないことは、
投資家からすると投資判断の遅れによる不利益につながりうる。

 PwCあらたとの関係悪化を避けつつ、投資家にも情報提供できる「落としどころ」として
東芝が取った手段が、今回の決算「見通し」発表といえる。