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富士フイルムホールディングス(株)【4901】の掲示板 2020/05/09〜2020/05/10

>>1216

こちらの記事も同様です。

コロナ感染の石田純一 アビガン処方され回復傾向に

「アビガン処方され回復傾向に」という見出しは、あたかもアビガンが有効な薬であり、アビガンによって石田純一さんが快方に向かったような印象を与えます。

アビガンを飲まなくてもほとんどの新型コロナ患者は良くなる
そもそも新型コロナウイルス感染症はほとんどの方は治癒する感染症です。

2020年4月24日時点で日本における新型コロナウイルス感染症の致死率は2%未満です。
つまりほとんどの方が治癒する感染症であり、アビガンを飲んでも飲まなくても良くなるということです。
クドカンさんも石田純一さんも、アビガンを飲まなくても良くなった可能性が高いでしょう。

それなのになぜにこうもアビガンはニュースの話題になるのでしょうか。

富士フイルム、アビガン増産開始 9月に7倍の30万人分

新型コロナ髄膜炎の男性退院へ 山梨大病院、アビガン投与

アビガンは日本の製薬会社が開発した薬剤ですから、新興感染症である新型コロナに対して日本として有効性の検証に取り組む、という姿勢はもちろん理解できます。

しかし、もはや「新型コロナにアビガンを使って当たり前」くらいのコンセンサスが得られようとしていることに、医療者として危機感を覚えます。

なぜなら、実際にはアビガンが新型コロナウイルス感染症に有効であるという科学的根拠は現時点では十分ではないからです。

  • >>1217

    新型コロナウイルス感染症に対するアビガンの効果は?
    新型コロナウイルスに対する効果はどうかと言いますと、実験室レベルではVero細胞に新型コロナウイルスを感染させた際のファビピラビルのウイルス阻害効果が評価されていますが、レムデシビルやクロロキンという薬剤と比べると阻害作用は低いという結果でした。

    しかし、この論文では「ファビピラビルはエボラウイルスに対してもベロ細胞でのウイルス阻害作用は高くないのに、マウスの感染モデルでは治療効果が見られたことから、(感染細胞を用いた実験ではなく)生体での効果を検証すべき」と結論付けられています。

    そして、通常はここで一足とびにヒトへの投与ではなく、マウスなどの動物モデルで効果を検討するわけですが、おそらく「新型コロナウイルス感染症は世界的な緊急事態である」という判断から、ヒト(新型コロナウイルス感染症患者)への投与に踏み切ったものと考えられます。

    では実際のヒトでの治療効果はどうでしょうか。

    中国からはカレトラ群45人と比較してファビピラビル投与群35人ではウイルス消失時間が短縮され、画像所見の改善も早かったという80人規模の臨床研究が発表されています。この結果だけ見ると「ファビピラビルいいじゃん」という解釈をしてしまいがちですが、症例の数も多くありませんし、患者さんをファビピラビル治療群とカレトラ群とに割り付けるランダム化もしていませんし、どちらの薬剤が使用されているか患者にも主治医にも分からないようにする二重盲検も行われていません。

    また査読前論文ですがよりエビデンスレベルの高い無作為比較試験として、ファビピラビル投与群116人とアルビドールという中国の薬を投与された群120人とを比較した論文が公開されています。結論として、アルビドールと比べてアビガン投与患者の臨床的改善は変わらず、副作用として尿酸値上昇がファビピラビル群では多かったというものです。これもオープンラベルという患者・医療従事者ともに「どちらの薬剤が投与されているか知っている」研究になります。