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森ヒルズリート投資法人【3234】の掲示板 2015/04/29〜2024/04/12

「ヒルズに留まって」森ビル、グリー慰留の手札
東洋経済 20年11月22日

10月27日にグリーが発表した2020年7~9月期決算短信の最終ページに掲載された「重要な後発事象」。
グリーは本社を構える六本木ヒルズ森タワー(港区)から本社の移転を計画し、移転先のビルにはすでに入居を申込んでいた。ところが、現居のオーナーである森ビルから「新たな提案」を受け、「中長期的な経済合理性の観点から検討を重ねた」結果、グリーは申込みを撤回。約7億円の違約金が発生した。

上記の内容を盛り込んだ短信を発表した同日、グリーは2022年8月をメドに同じ六本木ヒルズ内にある六本木ヒルズゲートタワーへの移転を発表。一連の発表からは、他社のオフィスビルへ移ろうとするグリーを森ビルが引き留め、六本木ヒルズ内に留まらせた様子が窺える。

短信の記述を切り取ると、違約金を支払うグリーが損をしたように映る。ところが、複数のオフィスビル関係者は「グリーはむしろ得をした」と見る。交渉の経緯についてグリーと森ビルはコメントを避けたが、「違約金による損失分を上回る好条件を森ビルが提示した」というのがオフィスビル業界の見立てだ。

森ビルはこのような借り手優位の状況下で、約7億円の違約金がありながら、グリーを翻意させた。だが、たとえ水面下で契約条件を譲歩したとしても、「森ビルも損をしていないのでは」(オフィスビル関係者)との見方がある。

グリーの新居となる六本木ヒルズゲートタワーには、現在、日本中央競馬会が入居している。JRAは来夏にも西新橋で建設中のビルに移転予定で、ゲートタワーのオフィスフロアは丸々空室となる。

森ビルとしては、JRAと入れ替わる形でグリーを入居させることで、ヒルズ内の空室を抑えた格好だ。

賃料の面でも好影響が期待される。グリーが六本木ヒルズ森タワーに入居したのは2010年。当時のオフィス市況はリーマンショックの傷を引きずり、賃料も今よりずっと安かった。オーナー側に有利な「定期借家契約」を締結していた場合を除き、テナントに対する賃料増額は難しく、不況期の安い賃料を引きずったままのビルは多い。森ビルにとっては今回、グリーの退去によって新たに相場並みの賃料でテナント募集をかけられる機会が生まれたという側面もある。


3234 森ヒルズリート投資法人