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NEXT NOTES ドバイ原油先物 ダブル・ブル ETN【2038】の掲示板 〜2015/04/28

生産割り当ての復活は市場シェアに直結するため、激しい議論を呼ぶことは必至である(OPEC全体の原油生産能力は日量日量約3350万バレル。日量3000万バレルという数字は生産目標に過ぎない)。

■原油価格急落と金融リスクの高まり

 話題を世界経済に転じると、原油価格急落は、当初期待されていた景気押し上げ効果を生まないばかりか、エネルギー分野での大量リストラというデメリットが目立ち始めている。世界のエネルギー関連業界の人員削減数は既に10万人を大幅に上回っており、その大半は米国に集中している(3月の統計によればテキサス州は約2万5000人の雇用減となり全米で最悪の数字だった)。

 このような事態を踏まえ、JPモルガンは今年第1四半期にエネルギー関連企業向け融資の焦げ付きに備える意味で、商業銀行部門の貸倒引当金を積み増した。

 またバンク・オブ・アメリカによれば、債務を積み上げてきたジャンク級(投機的格付け)のエネルギー企業が打撃を受けているため、デフォルトに陥る可能性が最も高いと投資家が考える「ディストレスト債」(経営破たんしたり経営不振の企業が発行する債券)の発行残高は過去1年で倍以上に増加(1210億ドル)し、市場価格はリーマン・ショック以来の大幅安となっているという。

 原油価格急落により産油国の外貨準備高が減少していることも気にかかる。例えばサウジアラビアの外貨準備高は2月に202億ドル減少した。これはリーマン・ショック直後の2倍のペースであり、少なくとも15年ぶりの大幅減であった。OPEC諸国が市場に流動性を供給するのではなく流動性を吸収するようになるのは20年ぶりのことである。

 IMF(国際通貨基金)は4月16日に発表した国際金融安定性報告書の中で「金融リスクが過去半年で高まっており、市場は流動性が『突然』消え、ボラティリティが急激に増大するような状況に陥りやすくなる可能性がある」と警告を発している。IMF加盟国の間でも、「IMFは苦境に陥った各国への貸し手となるだけはなく、リーマン・ショックの際に米FRBが主導したような、世界の金融安定化を実行する『システム全体の警察官』に進化する必要がある」との要望が高まっている。