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【CAD】月次国内総生産の掲示板

弊社のNY金融筋が、「ユーフォリアな投資家にとって未だ新型コロナの変異種の感染拡大が脅威となって立ちはだかっている」と打ち明ける。

5日のS&P500種株価指数の構成銘柄をみると、上昇率首位はクルーズ船運営大手のノルウェージャンクルーズラインホールディングス株で7%高、3位にはカジノ運営MGMリゾーツ・インターナショナルの5%高が入った。この日の値動きだけをみればコロナ恩恵銘柄も打撃銘柄も買われる「全部買い」の様相であり、コロナ直撃銘柄への買いが止まっていない。

だが、米ジョンズ・ホプキンス大の集計(日本時間5日)時点で、世界の新型コロナウイルス感染者数は1億3141.0万人、世界最大の感染国である米国が3070.7万人、米国は世界全体の約23%強を占める。

1月中旬頃に比べると感染拡大ペースは落ちているものの、「変異株が猛威を振る状況には著変なく、ワクチン接種拡大とのシーソーゲームとなり、一部州では経済制限の解除ができない状況にある」(NY金融筋)という。

英国型の変異ウイルスの感染が拡大し1日の感染者数が6万人近くに上るフランスでは、3月中旬からパリなど一部地域で実施していた外出制限を、4月3日から全土に拡大した。全土での外出制限は3回目で、自宅から10キロ圏外や夜間の外出を禁止、5日からは学校を一斉休校とする。

ブラジルでは平日1日当たり7-9万人ペースで変異種の感染が拡大しており、累計1298.5万人、インドは3月以降、感染「第2波」が広がり、4日は1日当たり10万人超の新規感染が確認され、累計1258.9万人となった。

コロナ変異種の感染拡大が原油価格の重石となってきた。NY原油先物が5日に節目1バレル60ドルを再び割り込むなど、rんだ。米国がイラン核合意に復帰し同国原油輸出が増える可能性が意識されたのが直接の契機だが、底流には欧州やインドで新型コロナ変異種の感染が再拡大し、需要回復への期待が揺らいでいることがある。

5日の売り材料は、イラン産原油の輸出増加観測であり、米国のイラン核合意離脱からの復帰に向けた当事国の合同委員会が6日ウィーンで始まり、イランへの経済制裁が弱まる可能性が意識された。

米エネルギー情報局(EIA)によれば、イランは2月時点で日量200万バレル強を生産、輸出市場に出回れば相場の重石となる。もっとも、米金融大手ゴールドマンサックスは「完全な輸出回復は2022年夏以降」と推測、回復時期が前倒しになっても石油輸出国機構(OPEC)の生産調整で相殺されると楽観的だ。

それでも投資家が足元で警戒感を強めたのは、コロナ変異種の感染拡大による世界需要の回復期待への暗雲を嫌気したからだ。インドではコロナ1日当たり新規感染者が初めて10万人を突破、フランスで外出規制が全国に広がる等、経済停滞で原油需要の回復が遅れるとの懸念が広がった。

原油先物は米国株と同じくリスク資産であり、原油先物の重石となるコロナ変異種の脅威は米国株にも暫し重石として悪材料視されかねない。