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私と経済の掲示板

FOMC声明要旨 0.25%下げに3メンバーが反対

18日発表された米連邦公開市場委員会(FOMC)の声明要旨は以下の通り。

前回7月のFOMC会合後に得た情報によると、労働市場は強さを保っており、経済活動は緩やかに拡大した。雇用増はこの数カ月を平均すると堅調で、失業率も低水準を保った。家計支出は力強く伸びたが、企業の設備投資および輸出は弱まった。

全般的な物価上昇率と、食品・エネルギーを除く物価上昇率は2%を下回っている。市場で予測したインフレ値は依然低く、アンケート調査による測定では長期のインフレ予想はあまり変わっていない。

法律で定められた使命を達成するため、FOMCは、雇用の最大化と物価安定の実現に努める。景気見通しへの海外経済の影響とインフレ圧力が抑制されている点を考慮し、(政策金利である)フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジを1.75~2.0%に引き下げることを決定した。この措置は、持続的な経済成長、力強い労働市場の情勢、目標の2%前後付近の物価上昇率がもたらされるとのFOMCの見方を支える。しかし、この見通しには不確実性が残る。

FOMCが、今後のFF金利の目標レンジの道筋を検討する際には、景気見通しに関する情報が意味するものを引き続き注視し、力強い労働市場と2%前後の物価上昇率の目標に向け、成長維持のために適切に行動する。

FF金利の誘導目標を調整する今後の時期と規模を判断するにあたって、FOMCは雇用の最大化と2%前後の物価上昇率という目標との比較で経済情勢の実績と見通しを評価していく。労働市場の状況に関する指標や、インフレ圧力・インフレ予想の指標、金融動向や国際情勢を含めた幅広い情報を考慮して判断していく。

決定はパウエル議長及びウィリアムズ副議長を含む7人のメンバーの賛成による。セント・ルイス連銀のブラード総裁は1.5~1.75%への引き下げを求めて、一方カンザスシティー連銀のジョージ総裁とボストン連銀のローゼングレン総裁は金利の据え置きを求めて、それぞれ反対票を投じた。

私と経済 FOMC声明要旨 0.25%下げに3メンバーが反対    18日発表された米連邦公開市場委員会(FOMC)の声明要旨は以下の通り。  前回7月のFOMC会合後に得た情報によると、労働市場は強さを保っており、経済活動は緩やかに拡大した。雇用増はこの数カ月を平均すると堅調で、失業率も低水準を保った。家計支出は力強く伸びたが、企業の設備投資および輸出は弱まった。  全般的な物価上昇率と、食品・エネルギーを除く物価上昇率は2%を下回っている。市場で予測したインフレ値は依然低く、アンケート調査による測定では長期のインフレ予想はあまり変わっていない。  法律で定められた使命を達成するため、FOMCは、雇用の最大化と物価安定の実現に努める。景気見通しへの海外経済の影響とインフレ圧力が抑制されている点を考慮し、(政策金利である)フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジを1.75~2.0%に引き下げることを決定した。この措置は、持続的な経済成長、力強い労働市場の情勢、目標の2%前後付近の物価上昇率がもたらされるとのFOMCの見方を支える。しかし、この見通しには不確実性が残る。  FOMCが、今後のFF金利の目標レンジの道筋を検討する際には、景気見通しに関する情報が意味するものを引き続き注視し、力強い労働市場と2%前後の物価上昇率の目標に向け、成長維持のために適切に行動する。  FF金利の誘導目標を調整する今後の時期と規模を判断するにあたって、FOMCは雇用の最大化と2%前後の物価上昇率という目標との比較で経済情勢の実績と見通しを評価していく。労働市場の状況に関する指標や、インフレ圧力・インフレ予想の指標、金融動向や国際情勢を含めた幅広い情報を考慮して判断していく。  決定はパウエル議長及びウィリアムズ副議長を含む7人のメンバーの賛成による。セント・ルイス連銀のブラード総裁は1.5~1.75%への引き下げを求めて、一方カンザスシティー連銀のジョージ総裁とボストン連銀のローゼングレン総裁は金利の据え置きを求めて、それぞれ反対票を投じた。

  • >>12944

    FRB議長「景気悪化なら追加利下げ」 会見要旨

    米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は18日、米連邦公開市場委員会(FOMC)終了後に記者会見した。発言の要旨は以下の通り。

    「利下げを決めた。米国経済を強く保ち、現在進行形のリスクに対して保険をかけるためにこの手段をとった」

    「米国経済は良好な状態が続いている。景気拡大は11年目に入り、経済見通しも好ましい。年前半は2.5%の経済成長率だった。強い雇用、収入増、堅調な消費者態度に支えられた家計支出が成長の源となっている。一方、製造業生産の減少に伴い、企業投資や輸出は弱含んできた。海外経済の低成長と貿易政策からもたらされる不確実性を我々はずっと注視してきた」

    「2018年の後半から世界経済は特に欧州と中国で減速した。数々の地政学リスクがあり、英国の欧州連合(EU)離脱の問題は解消されていない。貿易政策を巡る緊張は高まり、不確実性の高まりが米国の投資や輸出に重くのしかかっている。我々の産業界に対する聞き取りでも、事業における投資を減衰させていると聞いている。設備投資は4~6月期に緩やかに減少し、最近の指標でも弱含んでいる」

    「それでも堅調な個人消費と金融環境が支える形で、我々は経済は緩やかに拡大していくとみている。FOMCの参加者による直近の予測では、実質国内総生産(GDP)の増加率は今年2%を維持する」

    「労働市場は力強い。失業率は50年ぶりに近い低水準で、ここ数カ月も堅調だ。労働参加率は上昇し、賃金は特に低賃金の労働で上がってきた。仕事を見つけるのが難しかった低所得者層や中間層は、新たなより良い仕事につけている。我々は労働市場の強さは続くとみており、FOMC参加者による予測の中央値では今後数年、失業率は4%を下回る状態が続く」

  • >>12944

    「物価上昇率は過去12カ月間、2%の目標を下回ったままだ。変動の大きい食料とエネルギーを除いたコア物価上昇率はは1.6%程度で推移している。いずれ2%に戻るとみているが、物価上昇圧力は明らかに弱く、長期的にみた物価上昇期待も低い。我々は、物価上昇率が2%目標を下回る状況が続き、長期的な予想上昇率が好ましくなく下がることを警戒している」

    「今日の利下げ決定は世界経済の成長と物価上昇圧力の観点に照らして適切だ。我々は前回の会合以降、海外経済の減速と、追加の制裁関税を含む貿易政策の緊張の再来といったさらなる経済減速の兆候を見てきた。米連邦準備理事会(FRB)は貿易政策に関する処方箋は持っていないが、雇用と物価上昇に関して経済に実質的に影響を及ぼす全てのことを考慮する」

    「今後の金融政策は経済の進捗と見通しにかかっている。この政策はあらかじめ道筋を決めたものではなく、今日時点のものだ。既に述べたように経済の見通しは良好だ。今後数年の政策金利については小幅の変化の予測となっている。もちろん単なる予測であり、新しい情報次第で変える」

    「今週、短期金融市場で金利が急上昇し、17日には政策金利の誘導目標(2.00%~2.25%)の上限を上回った。市場機能や市場参加者にとって重要な問題だが、経済や金融政策運営への影響はない。この金利上昇は法人税納付や国債の発行で、資金が民間から財務省へと移ったために起こった」

    「私たちは17、18日に国債を担保に資金を供給する金融調節で対応し、金利上昇を抑えるのに効果を発揮した。超過準備への金利を誘導目標の上限から・20%低い水準に設定する技術的な調整も実施した。金融市場の情勢を注視し続け、金利が誘導目標の範囲内に納まるよう必要に応じて金融調節を実施していく。FRBへの準備預金は十分にあり、頻繁に金融調節は必要とならない」

  • >>12944

    ――7月の利下げは長期的な利下げサイクルの始まりではないとの説明だったが、今も同じ立場か。

    「景気見通しは望ましい状況だ。緩やかな景気拡大が続き、労働市場は強く、物価上昇率は2%の目標近辺だ。この認識は多くの市場関係者の見通しと合致する。政策金利の微調整は、堅調な経済成長を保つのを助ける。7月の記者会見でも1995年と98年の事例を成功例として示した」

    「こうした見通しは世界景気の減速や貿易交渉の進捗によって変わる恐れがある。経済が減速すれば、利下げの継続が適切な行動になり得る。ただ現時点では我々の想定には入っていない。引き続き状況を注意し、景気拡大が続くよう適切な行動をとっていく」

    ――FRBは金融緩和を進める立場にあると理解して良いか。

    「立場(バイアス)の概念を長きにわたって取り入れていたが、今ではそういう慣行はなく、現在の立場を述べることはできない。あえて説明するなら、0.25%の利下げは我々の目標を達成するのに適切だと信じている。今後の金融政策を決めるのは新たな指標だ。景気拡大を維持するため、指標に応じて必要な行動をとる。金融政策は遅れて機能するので、その波及効果は時間をかけて感じられる」

    「世界景気は減速し続けている。私は7月の会合時より弱まったと思う。貿易交渉は行ったり来たりで、この間に経済が弱含んだように見える。とにかく不安定な状況だ。引き続き状況と経済指標を注視する。金融政策の役割は下振れリスクに保険をかけて調整するだけでなく、我々が把握する経済の弱さを踏まえた上で景気を支えることだ」

    「資産を事前に考えていたよりも早く、再拡大する可能性はあり得る。問題はいつ再開させるべきかということだが、これについては次のFOMCでも討議するだろう」

    ――FOMCの参加者間でも景気見通しと金融政策で意見が割れているが、議長の立場は。

    「様々な見方があるのは確かだ。私は8年間FRBで働いてきた。これまでは意見を合わせるのは比較的たやすかったが、現在は判断が非常に難しい状況だ。ただ異なる意見があるのは健全なことだ」

  • >>12944

    ――市場はFOMC参加者よりもリスクを懸念しているのでは。

    「過去の歴史に照らせば、困難な状況が来る前に予防的に動く方が適切だ。FOMC参加者は経済の状況に応じて政策態度を何度も繰り返し変えてきた。年初には利上げが望ましいとみていたが、7月に利下げし、今回も再び利下げした。我々は経済指標やリスク次第で動くということを理解してほしい。こうした立場は今後も変わらない」

    「いまは異例な状況にある。米経済の大半を占める個人消費は堅調だが製造業はそれほど強くない。概して経済成長率は2%を達成する状況にある。ただ米経済は他の経済圏よりも世界経済の影響を強く受ける。現在は見通しに対して大きなリスクがある。地政学的な事象に限らず世界経済の減速、貿易政策の不確実性、金融市場の状況などが経済見通しに影響を与える」

    ――貿易政策を巡る不確実性の影響を推定する研究を公表した。

    「追加関税の影響など貿易政策の不確実性とその生産への影響を調べたが、22兆ドルの経済の特定の分野における影響を取り出すのは非常に困難だ。この研究は他のエコノミストの研究と一致する。地区連銀経済報告(ベージュブック)の内容とも一致している。不確実性は企業投資を弱め、輸出にも悪影響を与えているが、定量化は難しい」

    「貿易政策はFRBではなく議会と政権の仕事だ。我々が貿易について話すのは我々の目標達成に影響を与える事柄は考慮すべきだからだ。我々の研究は貿易政策が経済見通しの重荷になっていると示している」

    「我々には国際貿易政策の道筋は示せない。だが健在な金融政策は経済の弱さをある程度打ち消すことができる非常に強力な手段だ。我々の手段(利下げ)は金利負担を減らし、消費者に耐久財や住宅購入を促す。緩和的な金融環境は家計や企業の景況感も高める。金融政策は経済に悪影響を与えうる事象についてそれを和らげるため、幅広く機能する」

  • >>12944

    ――利下げを続けることでFRBの余力が弱まる心配はないか。今後の金融危機の恐れと、マイナス金利は検討しているか。

    「景気後退まで余力を残しておこうというのは間違いにつながりかねない。我々は政策金利の緩やかな調整が必要かどうかを注視している。景気がさらに弱まれば、我々もより積極的に動く準備をする」

    「マイナス金利は(08年の)金融危機には視野に入れていた。結局は積極的なフォワードガイダンスと大規模な資産購入という、2つの型破りな金融政策を実施した。うまく機能したので、将来、金融危機が起これば、再び積極的なフォワードガイダンスと資産購入を行うことになるだろう。

    我々は金融政策を精査している最中なので、長期的な枠組みや戦略、手段や(市場との)対話については来年半ばに答えることになるだろう」

    ――不況の兆候とされる長短金利の逆転(逆イールド)が起きた。

    「注意深くみているが、不況の兆候とは考えていない。あらゆる指標に基づき我々は前向きな見通しを持っている。長期金利は大きく低下したが、数日の間にその3分の2まで回復した。致命的になるのは、重大な変化が一定期間継続して見られることだ」

    ――低金利が消費者と企業の負債を増やし、バブルにつながる懸念は。

    「家計の状況は底堅い。借金は少なく、収入と利子のバランスも金融危機以前よりはるかに良好だ。企業債務は対GDP比で高水準だが、企業自体が成長している。好景気のサイクルで起きる事象であり、近い景気後退は起きないだろう。当然、後退のリスクは注視し、債務が世界のどの場所で膨らんでいるのかを特定する作業も進めている」

    ――金融政策で実現可能なことと限界をもっと明確にすべきでは。

    「我々の仕事は、最大限の雇用と物価安定を達成するため、金融政策の手段を可能な限り上手に使うことだ。労働生産性を向上させるなどして米国の成長率を高めるには、財政政策の方がずっと有効だ。金融政策は長期的な成長率に影響を及ぼすことはできないし、潜在成長率を高めることは金融政策の役割ではない」

  • >>12944

    ――トランプ米大統領がパウエル議長やFOMC参加者を「ばか者」「最悪のコミュニケーター」などと呼んで批判していることをどう思うか。議長会見の頻度を増やしたことを後悔しているか。

    「後悔していない。政治家については言及しないし、政治家の発言に反応しないという自分の慣行を変えるつもりはない。FRBの独立性は長年にわたって公共に資してきた。引き続き、政治的配慮を排して金融政策を実施する」

    ――17~18日に実施した臨時の資金供給について、流動性低下を受けFRBの対応に懸念はないか。

    「納税や大規模な債券の決済があることは認識していたが、報道もあり市場が過剰に反応したようだ。FRBの対応に懸念はない。今回の措置は景気全体や見通し、金融政策とは関係ない。米国債を購入するためと、法人税納税のための現金需要が想定以上に大きかった。政策金利を誘導目標内に抑えるために適切な行動を取り成功した。今後同様の状況が起これば対応することをいとわない」

    「今年初め、FOMCは金融政策と(政策金利を誘導水準内に保てる)超過準備の体制について決めたが、この体制は適切だ。FF金利を誘導水準に保つためそうした金利の調整を利用する。今後も適切な超過準備を把握するために市場の状況を注視する」

  • >>12944

    利下げは「リスクへの保険」 FRB議長会見

    米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は18日、米連邦公開市場委員会(FOMC)後に記者会見し、同日決めた0.25%の利下げについて「米景気見通しを支え、リスクへの保険になる」と説明した。米中貿易摩擦への懸念を示し、「景気が悪化すれば、追加の利下げも適切になりうる」と述べた。ただ景気は好ましい状況だと判断しており、「現時点ではそうしたこと(連続利下げ)を考えていない」とも語った。

    米景気の現状については良好だとし、先行きの基本シナリオも「好ましい」と従来の評価を据え置いた。ただ、地政学リスクは多くあるとした。貿易摩擦については「議会と政府の仕事であり、FRBの仕事ではない」としつつも、「設備投資や輸出に影響を与えている」との懸念を示した。英国の欧州連合(EU)離脱を巡る動きにも言及した。

    今週に入り、銀行間の金利が急上昇し、ニューヨーク連銀は17日と18日の臨時の資金供給を実施した。パウエル議長は「市場機能にとって重要な問題だが、経済や金融政策運営には影響を与えない」と述べた。超過準備にかける金利を従来より0.3%引き下げるなど円滑に金利を誘導できるよう技術的な調整をし、「金利は誘導目標(1.75~2.00%)の範囲内に戻っていくとみている」と述べた。

    FRBの資産について、「事前に考えていたよりも早く、再び拡大する可能性はありうる」との考えを示した。今週の短期金利の急上昇について、市場では「FRBの資産圧縮で銀行の余裕資金が減ってきたことが背景にある」との見方がある。

    将来、マイナス金利政策をとりうるかとの問いには「マイナス金利政策を採用を検討することは考えていない」と述べた。

    トランプ米大統領がFRBに利下げを要求していることには「私たちは政治の意向にかかわらず金融政策を進めていく」との考えを改めて示した。

  • >>12944

    FRB、超過準備の付利を0.3%下げ 短期金利上昇を抑制

    米連邦準備理事会(FRB)は18日、民間金融機関がFRBに預ける超過準備預金の付利を2.1%から1.8%に0.3%引き下げることを決めた。民間銀行の資金不足から短期金利が上がりやすくなっており、付利を下げて金利上昇を抑制する。

    FRBは18日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、政策金利のフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0.25%引き下げ、1.75~2.00%とした。ただ、今週に入って短期金利の上昇が目立ち、実際のFF金利が誘導目標を上回る事態が発生していた。超過準備預金の付利の引き下げ幅をFF金利より大きくし、FF金利が誘導目標内に収まるように操作する。

    ニューヨーク連銀は短期金利の上昇を抑えるため、18日まで連日で短期金融市場に大量の資金を供給していた。

  • >>12944

    FRBの追加利下げ、米市場関係者の見方

    米連邦準備理事会(FRB)は18日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利を0.25%引き下げ、7月に続く追加利下げに踏み切った。株式、外為、債券の米市場関係者に、追加利下げの評価や今後の展望を聞いた。

    ■株式 議長発言は支え

    チャド・モーガンランダー氏(ワシントン・クロッシング・アドバイザーズのポートフォリオ・マネジャー)

    米連邦公開市場委員会(FOMC)で2019~20年の利下げ停止が示唆され、結果発表後は株式相場は大幅安となった。だが、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の会見を受け持ち直した。議長は世界景気の不確実性を強調し、利下げ継続の可能性を排除しなかった。FRBはハト派姿勢を維持したとみている。

    パウエル議長は短期金利の上昇圧力の高まりに懸念を示し、FRBの保有資産の拡大を検討する可能性を示した。実施すれば量的金融緩和(QE)と似た緩和効果が見込める。金利上昇が抑えられて景気を支えるとみられ、株式相場にとっても長期的にプラスに働くと期待する。

    ただ、相場は過去最高値圏にあり、目先は上昇の勢いがやや鈍りそうだ。10月から本格化する米主要企業の7~9月期決算発表は、米中摩擦や世界経済への不透明感から業績見通しが市場予想に届かない可能性がある。FRBの緩和策の持続への期待は相場を支えるが、大幅な上昇は見込みにくい。

  • >>12944

    ■外為 ドル売り・円買い勧める

    バイパン・ライ氏(CIBCキャピタル・マーケッツの北米為替戦略のヘッド)

    18日の米連邦公開市場委員会(FOMC)結果発表後、円は対ドルでやや下落した。米連邦準備理事会(FRB)の姿勢が、市場の期待よりもやや「タカ派」と受け止められたからだ。市場は少なくとも年内にさらに0.25%の利下げが示唆されるとみていたが、FOMCメンバーらによる予想では19~20年の利下げ停止が示された。

    ただ、私は米中貿易摩擦に加え、足元では強い米個人消費が減速する可能性があるとみている。パウエル議長は会見で「必要があれば適切に行動する」と繰り返し強調し、利下げへの道を閉ざしたわけではない。米経済の減速がデータで示され、予防的な利下げに動くことになればドルの上値を抑えるだろう。

    米経済が減速することで、中長期的にはドルは下落余地があるとみている。顧客にはドル売り・円買いの戦略を勧めている。1ドル=109円台に近づけばいいドル売りの機会になるだろう。

  • >>12944

    ■債券 利下げ終了を意識

    ブライアン・デンジャーフィールド氏(ナットウエストマーケットのマクロストラテジスト)

    米連邦準備理事会(FRB)は18日まで開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げを決めたが、委員らの政策金利見通しでは19~20年の追加利下げを見込まず、21~22年には小幅の利上げを予想していることが示された。市場の想定よりもやや「タカ派」寄りだったと受け止められ、債券相場は伸び悩んだ。

    パウエルFRB議長はFOMC後の会見で米中貿易問題や景気動向などに応じて、必要があれば利下げに踏み切る姿勢を改めて示した。ただ、米中が貿易協議で歩み寄りつつあるうえ、英の「合意なき離脱」のリスクが低下したとの見方も強まる中、FRBが今回で「予防的な利下げ」を終了する可能性が意識された。

    短期金融市場で資金需給が逼迫し、短期金利が上昇していることについて(FRBへの超過準備預金の付利引き下げ以外に)目立った対応策を打ち出さなかったことが債券売りを誘った面もあった。市場では民間金融機関への資金供給を増やすため、FRBが保有資産の拡大を検討するとの思惑があり、FOMC前に米国債が買われていた。パウエル議長は保有資産の自然な拡大を容認する可能性を示唆したが、資産買い入れなどの実施時期には言及しなかった。

    (NQNニューヨーク)

  • >>12944

    ブラジルも利下げ 0.5%下げ5.5%に 過去最低を更新

    ブラジル中央銀行は18日、政策金利を0.5%引き下げ年5.5%にすると発表した。2会合連続の引き下げで、過去最低を更新した。米連邦準備理事会(FRB)の利下げを受け、ブラジル中銀は金融緩和に回帰している。景気回復が遅れる中、経済の下支えを狙う。

    通貨政策委員会では全会一致で利下げを決めた。中銀は声明で「経済の減速、目標を下回るインフレ率を背景とした主要国の追加金融緩和は新興国経済にとって好ましい」と説明した。8月のインフレ率は前年比3.43%と、歴史的な低水準となっている。米国の利下げにより、資本流出のリスクが抑えられたことも利下げに向かわせている。

    隣国アルゼンチンの経済混乱などの影響を受け、足元のブラジル経済は回復の遅れが鮮明だ。7月末の利下げを受け、ボルソナロ大統領は歓迎する声明を発表。政府内からも景気刺激策として中銀に利下げを求める声が上がっていた。

  • >>12944

    FRB、超過準備金利1.8%に 短期金利上昇を抑制

    米連邦準備理事会(FRB)は18日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で民間銀行がFRBに預ける超過準備預金への付利を2.1%から1.8%に引き下げることを決めた。付利は市場の短期金利の上限の役割を果たす面がある。この引き下げ幅(0.3%)を政策金利の下げ幅(0.25%)より大きくし、短期金利の急上昇を抑える狙いがある。

    16日以降、米銀内での短期資金が一時的に不足し、市場の短期金利が急上昇した。金融調節を担当するニューヨーク連銀は17日と18日に臨時の資金供給を実施し金利上昇を抑えたが、17日にはFRBの誘導目標を上回る取引が多発した。ニューヨーク連銀は19日も臨時供給を実施する予定だ。

    パウエル議長は18日の記者会見で短期金利の急上昇について「市場機能にとって重要な問題だが、経済や金融政策運営への影響はない」と話した。FRBは付利を引き下げるとともに、「金利が誘導目標の範囲内に収まるよう金融調節していく」(パウエル氏)考えだ。

  • >>12944

    NY連銀が臨時の資金供給 3日連続、短期金利を抑制

    ニューヨーク連銀は19日、短期金利の上昇を抑えるねらいで臨時の資金供給を実施した。3日連続の措置で、750億ドル(約8兆円)が民間金融機関に供給された。一時的な要因で銀行の資金が不足気味になっており、今週に入り、短期金利が急上昇したため、ニューヨーク連銀が臨時措置で対応した。

    ニューヨーク連銀は米連邦準備理事会(FRB)が決めた金融政策に沿って日々の金融調節を担当している。19日は前日に続き上限750億ドルに資金供給を金融機関に通知し、800億ドル以上の応札が集まった。国債などの担保にした「レポ」と呼ばれる取引で、翌日には資金がニューヨーク連銀に戻る短期間の資金供給だ。

    FRBは18日に銀行間の短期金利を「2.00~2.25%」から「1.75~2.00%」へと利下げした。パウエル議長は同日の記者会見で「金利が誘導目標に収まるよう金融調節していく」と述べた。短期金利の上昇圧力が強ければ20日以降も臨時の金融調節が続く可能性がある。

  • >>12944

    NY連銀、短期市場に657億ドル供給 5日連続

    米ニューヨーク連銀は23日午前、短期金融市場に657億5000万ドルの資金を供給した。資金供給は5営業日連続。供給枠は750億ドルに設定していたが、応札額が4営業日ぶりに供給枠を下回った。米市場では短期金利が上昇しやすくなっており、市場に潤沢な資金を供給して上昇を抑える。

    資金を供給したのは「翌日物レポ取引」と呼ばれ、国債などを担保に金融機関が短期資金を融通し合う市場。米連邦準備理事会(FRB)が市場から国債などを購入する量的金融緩和策が終わり、短期市場では資金需給が逼迫しやすくなっている。ニューヨーク連銀は10月10日まで資金供給を続け、24日からは期間を2週間とする資金も供給する。

  • >>12944

    NY連銀、短期市場に1050億ドル供給 6日連続

    米ニューヨーク連銀は24日午前、短期金融市場に750億ドルの資金を供給した。資金供給は6営業日連続。これに加え、期間が2週間とやや長めの資金も300億ドル供給した。米市場では短期金利が上昇しやすくなっており、市場に潤沢な資金を供給して上昇を抑える。

    資金を供給したのは「レポ取引」と呼ばれ、国債などを担保に金融機関が短期資金を融通し合う市場。米連邦準備理事会(FRB)が市場から国債などを購入する量的金融緩和策が終わり、短期市場では資金需給が逼迫しやすくなっている。ニューヨーク連銀は10月10日まで資金供給を続ける計画だ。

  • >>12944

    NY連銀、資金供給を延長 11月まで連日実施

    ニューヨーク連銀は4日、短期金利の上昇を抑えるために実施している資金供給を11月まで延長すると発表した。短期金融市場に民間銀行の余剰資金が向かいづらい状況が続いており、金利の急上昇を避けるために臨時対応を続ける。

    ニューヨーク連銀は米連邦準備理事会(FRB)の金融調節を担う。延長するのは「レポ」と呼ばれる国債などを担保にした翌日物の資金供給だ。短期金利の急上昇を受け、ニューヨーク連銀は9月17日以降、連日で実施している。従来、10月10日まで続ける方針を示していたが、11月4日まで続ける。2週間など期間物の資金供給も10月に計8回実施する予定だ。

    米大手銀行は金融規制への対応で、余剰資金を短期市場で運用することに慎重になっている。このため、金融システム全体で一時的に資金が不足すると短期金利が跳ねやすい状況が続いている。資金供給を続けることで、短期金利をFRBが誘導目標とする「1.75~2.00%」の範囲内に収めるねらいだ。

  • >>12944

    FRB議長、政策金利「現状が適切」 トランプ氏に反論

    米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は25日の講演で「金融政策は現在のスタンスが引き続き適切だとみている」と述べ、7月から続いた利下げを当面停止する考えを改めて強調した。トランプ米大統領はパウエル氏と直接会談して追加緩和を要求したばかりで、ホワイトハウスとFRBの路線対立は拭いにくくなっている。

    パウエル氏は米東部ロードアイランド州での講演で「7月から10月にかけて政策金利を0.75%引き下げ、消費者や企業の心理改善に役立ったと信じている」と主張した。政策金利は現状が適切だと指摘した上で「先行きは政策効果を監視していく」と述べ、利下げを停止して当面は様子見に転じる考えを強調した。

    パウエル氏は18日に、ホワイトハウスでトランプ大統領と今年2回目の会談に臨んだばかりだ。トランプ氏は会談後に「FRBの政策金利は他国に比べて高すぎると抗議した」と明かし、追加緩和の要求を緩めない考えを強調している。25日のパウエル氏の講演は、FRBがホワイトハウスの露骨な政策介入に抵抗する姿勢を示したものだ。

    もっとも、パウエル氏は講演で「貿易問題と海外景気の減速で、企業投資は弱含んでいる」などと述べ、米景気の下振れリスクも引き続き指摘してみせた。物価上昇率が目標の2%を下回っていることも懸念して「景気見通しに変化があれば、政策も同時に変更する」と述べ、機動的に追加緩和を検討する考えも強調した。

  • >>12944

    米最長景気の死角 拡大11年、株高は続くのか

    「米経済はスターエコノミーだ」。米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は14日、下院予算委員会でこう発言し、米経済に強い自信をみせた。米国の景気拡大は史上最長の11年目に入り、失業率は3.6%と約50年ぶりの低水準を維持する。

    ■好調な雇用 消費支える

    「2020年の米国の実質国内総生産(GDP)成長率は1.8%」。楽天証券が20日まとめたエコノミスト予想の平均値だ。19年予想(2.3%)は下回るものの、20年に底打ちし、21年は1.9%と再び拡大基調に戻るとみる。「足元の米個人消費は堅調。設備投資が再開し、企業業績も改善した。来年の米経済は軟着陸する」(楽天証券の香川睦氏)との見立てだ。

    世界経済を揺るがしてきた米中摩擦も「休戦」期待が高まる。22日には中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席がキッシンジャー元米国務長官と会談。米中関係を「正しい方向に発展させよう」と話したと報じられ、協議進展をうかがわせた。

    米中摩擦が一服すれば、米景気の再加速に弾みがつく。そんな市場の思惑が米株高を後押しする。米株式市場ではダウ工業株30種平均が18日、2万8036ドルと過去最高値を更新した。シティグループ証券は20年末にS&P500種株価指数が足元より6%程度高い3300をつけると予想。「好調な雇用が消費を押し上げ成長を支える構図が続く」(同社の村嶋帰一氏)。

    ただ、つい数カ月前まで、市場には米景気後退(リセッション)の暗雲が垂れこめていた。

    8月、米国債の長短金利が逆転する「逆イールド」が発生。追い打ちをかけるように米サプライマネジメント協会(ISM)製造業景況感指数も好不況の境目となる50を下回り、9月に10年ぶりの低水準となった。

    景気後退入りの予兆か――。市場の危機感はにわかに高まったが、10月に逆イールドは解消。10月のISM製造業景況感指数も改善すると「景気後退論」はすっかり鳴りを潜めた。

    来年11月の米大統領選挙を控え、再選を狙うトランプ米大統領が米景気を腰折れさせるはずはない、とみる市場関係者は多い。「米経済は70歳前後の健康な高齢者」(三井住友DSアセットマネジメントの猿渡英明氏)と評されるように、低成長・低インフレの「低温経済」が緩やかに続くとの見方もある。

  • >>12944

    だが、そこに死角はないか。「07年のサブプライムローン問題が表面化する前のような、過度の楽観を感じる」。龍谷大学の竹中正治教授は足元の楽観ムードにくぎを刺す。

    株高の宴(うたげ)に沸く米株市場の裏で、景気減速の予兆もある。米経済統計が集中した15日、発表された10月のコア小売売上高、11月のニューヨーク連銀製造業景況指数、10月の鉱工業生産と設備稼働率は、いずれも市場予想を下回った。

    ■富裕層42% 現金増やす

    アトランタ連銀が月次統計を基に算出する「GDPナウ」は19日時点で、19年10~12月期の米国の成長率を0.4%と見込む。7~9月期(1.9%、速報値)から大幅減速する見通しだ。

    死角は、好調な米国の消費や雇用にも潜んでいる。米中貿易協議などが消費者心理を悪化させ、ミシガン大学消費者態度指数(速報値)は8月以降、4カ月連続で前年同月を割り込んだ。絶好調とされる雇用も、製造業の空洞化が進む中西部や南部は失業率が高いままだ。

    景気に敏感な富裕層や経営者は米景気の先行きに悲観的だ。UBSの9月調査によると、世界の富裕層の55%が20年の景気後退入りを予想し、42%が現金資産を増やしていると答えた。米デューク大学の「最高財務責任者(CFO)サーベイ」は9月時点で、米企業約220社のCFOの7割弱が「20年末までの米景気後退入り」を予測する。

    過去、米景気の後退局面ではS&P500が平均3割下落し、市場も無傷ではいられなかった。分水嶺にたつ米経済を検証し、株高の行方を探った。

  • >>12944

    FRB、金利抑制に全力 越年資金53兆円供給
    供給や規制の修正論も

    米連邦準備理事会(FRB)は、ドル金利高騰を防ぐため越年の資金供給を計4900憶ドル(約53兆円)実施する。米大手銀が金融規制対応で余剰資金を抱え込む状況が続き、年末にかけドルの需給逼迫が強まるおそれがあるためだ。問題が長引く恐れもあり、FRBは資金供給の見直しも検討するほか、金融規制の修正論も浮上している。

    FRBの金融調節を担当するニューヨーク連邦準備銀行(NY連銀)が12日、年末にかけての金融調節の方針を公表した。期間が2週間の供給や12月31日の翌日物の供給を組み合わせ、年をまたぐドルを民間に大量供給する。

    「資金の出どころが大手銀に強く依存している」。国際決済銀行(BIS)は8日、米短期金融市場について報告書を出した。これまで米大手銀が市場での資金の出し手で、借り手はヘッジファンドなど機関投資家が目立っていた。だが、金融規制の対応で大手銀がドルを市場に手放さないようになり需給が逼迫した。BISは問題が「構造的だ」とし、長期化するおそれを指摘した。

    ヘッジファンドや投資信託が低金利で短期資金を調達しづらくなると、株や債券の運用に波及する。外国銀行や地方銀行の資金繰りに悪影響が及び、金融システムを揺らすリスクも否めない。2008年のリーマン・ショックもドルの枯渇で危機が拡散した。

    パウエルFRB議長は問題について11日、「対処することが可能だと考えている」と述べた。ただ、現状の資金供給は臨時措置を連日繰り返しているだけで対症療法的な側面が強い。FRBは「常設レポファシリティー」と呼ばれる金融機関がいつでもFRBから資金が借りられる仕組みの導入も検討を進めている。

    FRBは「資産拡大は過去に実施した量的緩和と明確に区別しないといけない」と考えている。あくまで市場の金利を円滑に誘導するための技術的な対処であり、資産拡大そのもので景気や物価を支える狙いはないとしている。そのため、資金供給の際に担保にとるのは短期債に限定し、長期金利には影響を与えないようにしている。

    私と経済 FRB、金利抑制に全力 越年資金53兆円供給   供給や規制の修正論も   米連邦準備理事会(FRB)は、ドル金利高騰を防ぐため越年の資金供給を計4900憶ドル(約53兆円)実施する。米大手銀が金融規制対応で余剰資金を抱え込む状況が続き、年末にかけドルの需給逼迫が強まるおそれがあるためだ。問題が長引く恐れもあり、FRBは資金供給の見直しも検討するほか、金融規制の修正論も浮上している。  FRBの金融調節を担当するニューヨーク連邦準備銀行(NY連銀)が12日、年末にかけての金融調節の方針を公表した。期間が2週間の供給や12月31日の翌日物の供給を組み合わせ、年をまたぐドルを民間に大量供給する。  「資金の出どころが大手銀に強く依存している」。国際決済銀行(BIS)は8日、米短期金融市場について報告書を出した。これまで米大手銀が市場での資金の出し手で、借り手はヘッジファンドなど機関投資家が目立っていた。だが、金融規制の対応で大手銀がドルを市場に手放さないようになり需給が逼迫した。BISは問題が「構造的だ」とし、長期化するおそれを指摘した。  ヘッジファンドや投資信託が低金利で短期資金を調達しづらくなると、株や債券の運用に波及する。外国銀行や地方銀行の資金繰りに悪影響が及び、金融システムを揺らすリスクも否めない。2008年のリーマン・ショックもドルの枯渇で危機が拡散した。  パウエルFRB議長は問題について11日、「対処することが可能だと考えている」と述べた。ただ、現状の資金供給は臨時措置を連日繰り返しているだけで対症療法的な側面が強い。FRBは「常設レポファシリティー」と呼ばれる金融機関がいつでもFRBから資金が借りられる仕組みの導入も検討を進めている。  FRBは「資産拡大は過去に実施した量的緩和と明確に区別しないといけない」と考えている。あくまで市場の金利を円滑に誘導するための技術的な対処であり、資産拡大そのもので景気や物価を支える狙いはないとしている。そのため、資金供給の際に担保にとるのは短期債に限定し、長期金利には影響を与えないようにしている。

  • >>12944

    ただ、量的緩和との境界線は曖昧になりつつある。予定通り4900億ドルの資金が供給されれば、年末時点のFRBの総資産は4兆3千億ドル前後に膨らむ。ピークだった15~17年の4兆5千億ドルに迫る水準だ。パウエル議長は11日、長期国債を将来買う可能性も示唆した。クレディスイスのゾルタン・ポズサー氏は「量的緩和第4弾(QE4)になるかもしれない」と指摘する。

    大手銀が資金を手放さない背景となっている規制の見直し論も出始めている。元FRB理事のタルーロ氏は「金融危機後の規制改革では、未解決の重要な課題が残っている」と指摘。JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は「新たな危機が起こる前に、金融規制を修正しなければならない」と主張し、FRBに働きかけている。

  • >>12944

    米、政策金利据え置き FRB議長「新型肺炎を注視」

    米連邦準備理事会(FRB)は29日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利の現状維持を決めた。記者会見したパウエル議長は「米景気は拡大が続き、金融政策は現状が適切だ」と主張。当面は利上げや利下げを見送って、政策金利を据え置く考えを示した。ただ、新型肺炎の拡大には「世界景気への影響を注視する」と述べて警戒感をにじませた。

    29日の会合では、短期金利の指標であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を、年1.50~1.75%で維持すると決めた。政策金利の据え置きは2019年12月に次いで2会合連続だ。

    米経済は景気拡大局面が過去最長の11年目に突入したが、貿易戦争で企業心理が弱含んだためFRBは19年に3回の「予防的な利下げ」に踏み切った。ただ、米中の貿易戦争が「休戦」に入るなどしたため「世界経済の不確実性は幾分か和らいだ」(パウエル議長)と判断。米金融政策は再び様子見に入った。

    会合後に公表した声明文では「雇用の拡大は底堅く、家計支出も緩やかに増加している」と指摘し、米景気の現状に一定の自信をのぞかせた。ただ、企業心理の持ち直しは遅れており「設備投資や輸出は弱含んだままだ」と警戒感を残した。

    金融政策については「現状のスタンスが適切だ」とした上で「抑制されたインフレ圧力や海外の動向を含め、景気の先行きを引き続き注視する」と表記した。利下げや利上げを示唆する文言はなく、当面は政策金利を据え置く考えをにじませたものだ。FOMCは前回の会合で先行きの政策シナリオを公表し、20年中は利下げも利上げも見送る方針を示唆している。

    もっとも、中国で発生した新型肺炎によって、現地企業が操業停止を余儀なくされるなど経済面での影響も深刻になってきた。パウエル議長は「中国景気や周辺国に短期的な影響が出るとみられる」と指摘し、世界経済への下振れリスクを「極めて注意深く監視していく」と述べた。