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>>12007

■自分の生活に打撃となると反対する有権者

欧米の気候変動対策推進派は、最近の異常気象によって根本的な対策を求める声が高まるはずだと考えがちかもしれない。フランスではつい先日、45.9度という観測史上最も高い気温を記録した。

だがオーストラリアの選挙は、国民が異常気象や将来への不吉な予兆に不安を感じても、それがすぐ気候変動対策への多数派支持につながるとは限らないことを示唆している。特にその対策で増税になったり、中流生活に不可欠な要素である自家用車保有などが危うくなると感じられたりすると、選挙での支持は得られない。

オーストラリアの18~19年の夏は観測史上、最も暑い夏だった。干ばつ、山火事、洪水に加え、マレー・ダーリング盆地では何十万匹も魚が死ぬなど、破滅的な自然現象に見舞われた。世論調査によれば、オーストラリア国民は現在、国の安全に対する最大の危険要因は気候変動だと考えている。だがモリソン氏と保守連合は今年の総選挙で、野党労働党は鼻持ちならない都市住民の党であり、彼らの提案を認めれば国民はピックアップトラックを運転することも、日曜に伝統の肉のオーブン料理も楽しめなくなると訴えて勝利を収めた。

この戦略は成功した。10年以上前、オーストラリア労働党のラッド元首相は、気候変動は自分たちの時代が抱える大きな道徳的課題であり、「政治を越えた問題」として扱うべきだと宣言した。だが、オーストラリアの温暖化ガス排出量も化石燃料の輸出量も増え続けている。