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乾汽船(株)【9308】の掲示板 2022/04/01〜2022/04/11

2022年04月08日 デイリー版4面 
コラム・オピニオン
【記者の視点/岬洋平】
コンテナ運賃市況、軟化一時的、高止まり念頭に

 今年のサービスコントラクト(SC)交渉も、既に終盤戦に入った。先行した、大手BCO(実荷主)と船社の交渉では、「運賃自体が争点にならなかった、初の経験」(マースク北東アジア地区CEO〈最高経営責任者〉・西山徹氏)といった声が聞こえてくるなど、荷主のスペース優先姿勢が顕著だった。短・中期的には需給逼迫(ひっぱく)が続くという市場見通しが、交渉姿勢に表れた格好。実際、例年になく複数年契約を求める荷主が多かったようだ。

 ただ、国際輸送業務に多くの人手をかけられない中小荷主などでは、適切な判断ができなかったケースもあるようだ。荷主の物流担当者は状況を理解していても、生産・営業など他部門に、大幅なコスト増を理解してもらえず、船社やフォワーダーの担当者に「もう少し何とかならないか」と再交渉を持ちかける。船社・フォワーダー側にしてみればそのレートで積む荷主がいるため、「それだと積めません」と断らざるを得ない。やりとりが一巡する間に、スペースはさらに絞られ、業者からの提示額はさらに上がる、という悪循環に陥った荷主の話も耳にした。

 スペース不足、運賃高止まりはいつ解消するのか。コンテナ物流関係者の最大の関心事だろう。

 5日付本紙では「コンテナ運賃、欧米向け軟化続く」と報じている。見出しだけ見れば、「高騰した運賃がようやく下落に向かうか」と思う読者もいるだろうが、「軟化」と言っても上海発北米東岸向けスポット運賃指標は依然として1万ドル超の水準。3月末からの上海でのロックダウン(都市封鎖)が生産・出荷の制約になっていることが主要因と見られ、記事でも「ロックダウンが解除されれば再び出荷が増えるため、需給が逼迫するという見方もある」と説明している。

 少なくとも2022年通年では、コンテナ運賃の高止まり状況が劇的に変わることはない。荷主も現状の運賃水準を「新常態」(ニューノーマル)として受け入れ、さまざまな判断の基準としなければ、前述の荷主のように結果として不要なコストを払う事態になるのではないか。短期的な運賃の上下動に一喜一憂せず、マーケットを冷静に見通す必要があるだろう。