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ヤマトホールディングス(株)【9064】の掲示板 2024/05/11〜2024/06/09

瀬戸薫さんいた時のヤマト運輸の考え。
# 経営コンサルティング # IPO・M&A # 営業・販売 # システム開発 # マーケティング # 組織・人事制度
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著名経営者
ヤマトホールディングス株式会社 代表取締役会長 瀬戸 薫
「サービスが先、利益は後」の哲学でイノベーションを起こし続ける
ヤマトホールディングス株式会社 代表取締役会長 瀬戸 薫
経営者インタビュー
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市場に競合がひしめきあうなか、40年近くもトップシェアを占め続けるのは至難の技。それを実現しているのが、宅配便市場のパイオニア・ヤマトグループだ。「宅急便」は人々の生活に欠かせないインフラとなり、2012年3月期の同グループ連結売上高は1兆2600億円を突破。次々と新しい商品やサービスを投入、イノベーションを起こし続け、ライバルたちの追撃をはねつけている。なぜ❝クロネコ❞は顧客の支持を集め続けることができるのか。18万人の巨大グループを束ねるヤマトホールディングス会長の瀬戸氏に聞いた。

※下記は経営者通信24号(2013年4月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

1976年の「宅急便」開始以来、宅配便市場でトップシェアを維持し続けています。なぜ、これほど強いのですか。
―1976年の「宅急便」開始以来、宅配便市場でトップシェアを維持し続けています。なぜ、これほど強いのですか。
瀬戸:ハッキリした理由があります。荷物を受け取る利用者、つまりエンドユーザーの利便性向上を図るイノベーションを継続してきたことです。運輸業では収益源である配送料金を支払ってくれる荷主を「顧客」といいますが、当社は顧客以上に、エンドユーザーの使い勝手向上を目指してきました。ここが当社の強みです。

あらゆる企業は収益拡大のため、差別化にしのぎを削り、顧客を取り込もうとします。しかし、運輸業の場合、「荷物を預かり、お届けする」というビジネスモデル自体は変えようがありません。こうした差別化困難な環境下では、どうしても価格競争が起きやすくなり、顧客囲い込みのための運賃値下げ合戦が発生します。そして、その裏側でエンドユーザーの利便性向上は後回しにされてきました。

たとえば、宅急便が登場する以前は、「集荷してからお届けするのは1週間後が当たり前」など、早く荷物を届けたいという顧客ニーズはもちろん、早く受け取りたいというエンドユーザーのニーズも汲み取られていませんでした。


―値引き競争の一方で、物流システムの改革は後回しにされていたのですね。
瀬戸:そうした構造を変革したのが宅急便。全国一律で翌日配送を実現するなど、宅急便は顧客とエンドユーザーの利便性を飛躍的に高めたと自負しています。ただし、宅急便の実現には、さまざまな困難がともないました。物流システム網を築くには巨額の投資が必要だったのはもちろん、官僚の規制と戦うことも不可避だったからです。会社の存亡を賭けて、あらゆる経営資源を宅急便に投下しました。こうした、利便性を最優先する企業姿勢を保ち続けてきたことが、トップシェアを維持してきた最大の要因だと分析しています。

―収益源ではないエンドユーザーのための投資が、なぜNo.1の源泉になりえたのですか。
瀬戸:利便性の高い宅配サービスを使えば、エンドユーザーは顧客である荷主に対して好印象を持ちますよね。「あの会社から買うと便利だ」「次もあの会社に注文しよう」となる。つまり、エンドユーザー重視のサービスは、顧客のビジネス拡大にもつながるんです。その結果、注文増で荷物が多くなり、当社の取扱個数も伸びる。こういう論法です。

―時間がかかる方法ですね。
瀬戸:確かに、一見すると、回りくどい方法かもしれません(笑)。しかし、宅急便の創始者である小倉さん(小倉昌男元会長(注1))は、つねに「サービスが先、利益は後」といっていました。「ヤマトにまかせれば安心だ」という信頼感を築き、顧客に取引を継続してもらうためには、絶え間なくイノベーションを行い、サービスの質を磨き続けるほかないのですから。

こうした考え方は、当社の「DNA」とも呼べるものです。会社の収益より先に顧客の利益やエンドユーザーの使い勝手を考える風土が、ヤマトグループのすみずみに根付いています。