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大黒屋ホールディングス(株)【6993】の掲示板 2016/05/07〜2016/08/02

森電気(現:アジアグロースキャピタル)の小川浩平社長は米投資銀行ゴールドマン・サックス出身で、「証券市場の魔術師」と呼ばれていた。この魔術師が編み出した経営再建のためのスキームはこうだ。投資事業に転換したサクラダは、ジャスダック上場のディーワンダーランドの筆頭株主となる。ディーワンダーは中古ブランド品の売買で知られるブランド質屋、大黒屋を買収する。

 高収益を上げていた大黒屋に業績不振の森電機、サクラダ、ディーワンダーをくっつける。大黒屋の人気に便乗してディーワンダーの株価を引き上げ、同社の筆頭株主になるサクラダ、サクラダに出資する森電機の株価もツレ高させるという“三方一両得”のシナリオだった。

 この筋書きに従い、サクラダが筆頭株主になったディーワンダーは06年3月、160億円で大黒屋を買収して完全子会社にした。しかし、ジャスダック証券取引所がこの買収に異議を唱えた。大黒屋が実質的な存続会社なのに、ディーワンダーの名前を借りて裏口上場することになると判断して、上場審査(上場廃止)の対象としたのだ。

 その後、ディーワンダーは上場廃止を免れるために大黒屋の売却を模索したが、条件が合わず売却を断念した。ジャスダックは10年2月9日、不適当な合併等に該当するとして同社を上場廃止にした。

 結局、小川氏が描いたスキームは崩壊。サクラダは投資事業から撤退した。サクラダの12年3月期の売り上げは、46億8800万円に激減。資金繰りに窮した末に、10億円の資金を調達するために実施したのが、冒頭に書いた新株予約権の発行だった。

 サクラダの上場廃止は12月12日。12月11日の終値は1円。たった1円で取引を終えた。

 橋梁工事の名門サクラダはマネーゲームのカードに成り果て、創業117年の歴史の幕をあっけなく閉じたのである。