ここから本文です
Yahoo!ファイナンス
投稿一覧に戻る

パナソニック ホールディングス(株)【6752】の掲示板 2024/05/11〜

『[社説]自動車産業は停滞の先を見据えた変革を
#社説 #オピニオン
2024/5/12 2:00
ホンダはカナダでEVへの大規模投資を決めた(4月、現地で投資計画を発表する三部敏宏社長)
100年に1度といわれる自動車産業の構造転換に停滞感が見え始めた。米国や中国、欧州など主要市場で電気自動車(EV)の普及にブレーキがかかりつつある。政策の見直しなど先行きが読みづらい部分もある。経営者は長期的な視点に立って変革に挑む覚悟と実行力が問われている。

自動車産業で進む変化は大きく2つある。石油から電気や水素へのエネルギーシフトと、ハードウエアからソフトウエアへの車の持つ価値の転換だ。構造転換に揺り戻しはつきものだが、長い目でみて逆行することはあるまい。

世界最大のEV市場である中国では供給過多が顕著となり、メーカーによる値引き競争が横行する。欧州と米国ではEV促進策を見直す動きがある。だが、自動車にクリーンエネルギーが求められる大きな流れに変わりはない。

ホンダは2040年までにすべての新車をEVか燃料電池車に切り替える計画を掲げる。三部敏宏社長は「多少の揺れがあることは想定していた」と最終目標に変更はないと明言する。求められるのは、規制の変更や需要の変動に柔軟に対応できるエネルギーシフトの工程管理である。

現状ではトヨタ自動車を筆頭に日本勢が強みを持つハイブリッド車の売れ行きが好調で、各社の好業績を下支えしている。しかし、足元のニーズにとらわれて変革に乗り遅れる「イノベーションのジレンマ」に陥らないよう、注意しなければならない。

ソフトウエアの領域にも課題が見えてきた。米国では無人のロボタクシーの事故を契機に、自動運転への疑念が広まっている。

事故を起こした米ゼネラル・モーターズ(GM)系企業によるずさんな対応は非難されてしかるべきだ。だが、人工知能(AI)のようなソフトは実社会で使われてこそ進化が見込める。

出遅れ感がある日本は追い上げる好機ととらえるべきだろう。自動運転が社会に受け入れられるよう、官民で知恵を絞りたい。

IT(情報技術)企業やスタートアップの知見も欠かせない。自動車大手が頂点に君臨する従来のピラミッド型サプライチェーンの発想を捨て、水平分業的な新しい連携の形を築く必要がある。

自動車産業は日本経済を支える大黒柱だ。目先の変調にとらわれることなく、果敢に構造転換を進めてもらいたい。』