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ニデック(株)【6594】の掲示板 〜2015/04/27

>>19786

◆2013/10/08(火) 日本経済新聞 朝刊 33ページ

日本の伝統である企業スポーツの衰退が叫ばれて久しい。特に冬の競技は寒風が吹きやまないが、スピードスケートの日本電産サンキョーは他の追随を許さない手厚い支援でチーム強化に励んでいる。前身の三協精機製作所時代から数えて五輪に32人を送り込み、メダル5個を獲得。開幕が4カ月後に迫ったソチ五輪では、1998年長野五輪の清水宏保以来となる金メダルに挑む。

銀に達成感なし
1枚のポスターが選手たちに強烈に訴えかけている。長野県下諏訪町にある日本電産サンキョースケート部のトレーニング室。「一番以外はビリだ!!」。親会社の日本電産社長、永守重信(69)が2番以下を蹴散らす姿が永守の似顔絵とともに描かれる。同社の経営戦略と同様、一番は「日本一」ではなく、「世界一」を意味している。

スケート部の選手8人には、その「永守イズム」が浸透している。2010年バンクーバー五輪男子500メートル銅メダルの加藤条治(28)が「五輪が終わってからも悔しさが続いていた」と言えば、銀メダルの長島圭一郎(31)も「達成感がなかった」。表彰台がゴールではない。だから、バンクーバーの後でも燃え尽きることはなかった。

一番になるため会社側は支援を惜しまない。4年前から選手は2人増員、トレーニング室も新装して器具を充実させた。スケート靴の調製器具なども技術者たちがサポート、会費年間1200円の後援会にも3700人以上のグループ社員が入って応援する。

結果を残した選手にはしっかり報いる。例えば、同社には会社のロゴをつけた選手の写真がメディアに掲載されると、「広告代」が支給される仕組みがある。五輪での報奨金はソチでも継続する予定で、バンクーバーでは銀の長島に1千万円、銅の加藤に600万円を贈った。金には2千万円を用意して話題となったが、永守は多いとは思っていない。「日本はメダリストへの待遇が悪い。夢があるように、金メダルを取れば家が1軒建つくらいでないと」

経営不振に陥った三協精機を日本電産が傘下に収めたのが03年。本業と関係のないスケート部は廃部になるとの見方もあった。永守は当時、もともと興味のなかったスケートを勉強し、世界一になれる可能性があることと、廃部にした場合の打撃の大きさを知ったという。「うちがスケート部をやめると選手の受け皿がなくなり、スケートが日本からなくなる」。ほかがあまり手掛けていないマイナー競技というのも、個性を追求する永守好みだったのかもしれない。

お金に代え難い
存続を決めた以上は結果を求める。選手たちに勝利至上主義を徹底的に植え付けた。「生活のことは心配しなくてもいい。ただ、まず勝つこと。勝たなければ生活も何もない」と説いた。「メダルを取って国民を喜ばせた感情は何とも言えないし、お金には代え難い。スポーツは国民に喜びや希望を与えるものでなければならない」

結果こそ全て――。ある意味、メジャー競技のプロ興行よりも厳しい。それは企業スポーツやマイナースポーツが生き残るための一番の道しるべ。永守のメッセージはわかりやすい。

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