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(株)東芝【6502】の掲示板 2017/01/09

東芝の苦境を物語る中国原発事業の誤算
2016 年 12 月 30 日 17:08 JST

 【三門(中国)】東芝は、原発事業を将来の事業の柱に育てようとしてきたが、不正会計問題に伴う巨額の赤字計上や、米原発事業で数千億規模の損失が出る可能性に揺さぶられている。
 東芝の実態を知るには、米原発子会社ウエスチングハウス(WH)が中国浙江省三門県に建設中の原子炉「AP1000 」が格好の手掛かりとなる。
 三門原子力発電所に導入されるAP1000初号機(三門1号機)は、原発の安全性向上、労働力の節約、建設工期の短縮を実現することで、ウエスチングハウスが原発業界に革命を起こすとうたう新技術をアピールするはずだった。

 ところが、三門1号機の建設は遅れに遅れている。例えば、冷却システムの基幹部品に問題があり、作業が2年余りも遅延した。しかも、ウエスチングハウスが三門1号機の設計作業を完了するまでに何年もかかったため、建設はさらに遅れ、顧客である中国国家核電技術公司の怒りを買った。三門1号機の建設は当初の計画から少なくとも3年の遅れが生じている。
 ウエスチングハウスは29日、三門1号機に濃縮ウラン燃料を装荷するのは2017年初頭になるとし、16年末としていた目標を先送りした。
 三門1号機を巡る問題は、世界中の原発事業が抱える問題を浮き彫りにしている。

三門原子力発電所に導入されるAP1000初号機は、ウエスチングハウスが業界に革命を起こすとうたう新技術をアピールするはずだった
 三門1号機は来年春の稼働開始に向け、技術的な作業が最終段階に入っている。今後全てが順調にいったとしても、当初の工期を守れなかったことでウエスチングハウスの信頼に傷がついた。
 ウエスチングハウスのジェフ・ベンジャミン氏は、三門原発の問題を十分認識している。同氏は中国の原発建設に関する問題が積み上がっていた13年に、新規原発を担当するシニアバイスプレジデントに就任した。
 ベンジャミン氏は原子力エンジニアとしての経験は豊富だったが、新設される原発の現場監督を担当したことは一度もなかった。この秋の同氏への取材で、新型原子炉の建設は非常に複雑な作業であり、大小何千にも上る問題が完成を遅らせている実態を垣間見ることができた。
 三門1号機の完成が近づく中でも、エンジニアらはなお数多くの技術上の問題と格闘していた。特に頭を悩ませていたのが、原子炉圧力容器表面の保護層が、試験時に想定よりもはるかに膨張した原因の究明だった。
 ウエスチングハウスの関係者によると、この問題は保護層の素材変更により最近解決することができた。

 ウエスチングハウスには、国家核電技術公司への技術移転の見返りに、その技術に基づいて中国内で建設されると見込む原発数十基の燃料供給・保守契約を獲得したいとの思惑があった。
 AP1000は、重力など自然の力を利用して原子炉の安全を保つ設計となっている。例えば、緊急時にはタンク内の冷却水が自動的に放出される。
 対照的に、フランス国営の原子力大手アレバの原発は、緊急時の対応を運転員の操作やコンピューターシステムに大きく依存している。
 三門1号機の建設が遅れている要因はいくつもあるが、その一つとして「安全性」が挙げられる。中国は11年3月の福島原発事故を受け、全面的な安全検査が実施されていない新規原発の承認を停止した。これが三門1号機の建設を遅らせたとウエスチングハウスは言う。

 その後、より根本的な問題が発覚する。それは技術的な作業が完了する前に建設作業を開始してしまったことだ。ウエスチングハウスは現在、この決定は誤りだったと認めている。
 同社が設置済みの機器をわざわざ取り外し、技術面での再検査を長期にわたって実施したのは一度や二度のことではなかった。
 ウエスチングハウスのダニー・ロデリック最高経営責任者(CEO、肩書は当時)は、13年1月ごろには我慢の限界に達し、旧友のベンジャミン氏の採用に動いた。
 ベンジャミン氏は、13年に三門原発を見て回った際、打ち立てのコンクリートを作業員が砕いている様子に驚いたという。原子炉の圧力を制御する加圧器を支える鋼鉄製部材の強度不足が発覚し、交換が必要だったのだ。
 AP1000は新めて用いる部品を多数採用している。その一つが冷却材ポンプだ。4台の冷却材ポンプが事実上、原子炉の「心臓」の役割を果たし、冷却水を循環させることで炉心周辺の温度の過熱を防ぐ。
 ウエスチングハウスが13年初頭にこのポンプの試験を行った際、ポンプ内の羽根車が破損していたことが判明した。同社は原因究明のためポンプ全体の検査を余儀なくされ、最終的には設計自体を見直した。問題修正まで2年を要した。
 ウエスチングハウスは、再設計後の冷却材ポンプは三門1号機などで順調に稼働していると説明している。このポンプは米国内の原発では使用されていない。
 ウエスチングハウスには、三門1号機をうまく稼働させることで、中国内の懸念を和らげるとともに、業界のリーダーとしての地位を取り戻したいとの思惑がある。
 もっとも、AP1000だけでなく、中国が技術移転を通じて開発中のCAP1400(AP1000の大型版)の今後の事業について、中国政府が言及する機会は減っている。
 ベンジャミン氏は、中国でAP1000をしっかり稼働させることがウエスチングハウスの将来にとって重要だということは分かっていると述べた。
 ベンジャミン氏は先日、三門1号機の行方が業界だけでなく世界中から注目されていることを忘れないよう、従業員らに念を押した。