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日本ガイシ(株)【5333】の掲示板 2021/01/02〜2021/09/14

日本ガイシ(5333)の独自リチウムイオン二次電池「EnerCera」(エナセラ)
2021年5月26日

小さな半固体電池がクルマを大きく変える! 105℃対応車載用電池「EnerCera」が与えるインパクト
ワイヤーハーネスレスに現実味
日本ガイシは2021年度上期に、105℃という高温条件での使用に耐えられるリチウムイオン二次電池「EnerCera(エナセラ)」Coin(コイン)の量産出荷を開始する予定だ。独自技術を用い、従来のリチウムイオン二次電池とは一線を画す構造の“半固体電池”であり、これまで不可能だった“クルマに搭載できる電池”を実現した。この車載対応二次電池が切り開いていくだろう自動車の未来を紹介していこう。

 小さなボタン型電池が、自動車の在り方を大きく変えようとしている――。

 いま、自動車は、コネクテッド(Connected)、自動運転(Autonomous)、シェアリング(Shared&Service)、電動化(Electric)という4つのメガトレンドの頭文字をとった「CASE」という言葉に代表されるように、100年に1度の大きな変革期を迎えている。こうした大変革期を迎えた自動車は、あらゆる面で進化を遂げてその姿を一変させようとしている。その中で、自動車の進化を実現する新たなテクノロジーの開発も活発化し、自動車の未来を切り開く新たなテクノロジーが次々に生まれている。その1つが、“半固体電池”と称される新型リチウムイオン二次電池「EnerCera」(エナセラ)だ。


日本ガイシの独自リチウムイオン二次電池「EnerCera」(エナセラ)
ワイヤーハーネスレス実現に必要な電池
 自動車で“電池”といえば、電気自動車(EV)の走行用モーターを駆動するための“大型電池”をイメージする方が多いだろう。自動車は、走行用モーターを駆動する大型電池の進化を求めていることは間違いないが、大型電池だけを求めているわけではない。ボタン電池クラスの“小さな電池”も、自動車の未来を実現する上で不可欠なテクノロジーとして、進化が要求されているのだ。

しかし、これまでの常識を覆し、“ワイヤーハーネスレス”の実現により現実味を帯びさせる二次電池が登場した。それが、EnerCeraだ。


電子部品への動作温度要求と「EnerCera Coin」が対応する温度範囲
車載を可能にした全く新しい電池「EnerCera」とは
 日本ガイシが開発したEnerCeraは、それまでのリチウムイオン二次電池と一線を画す、全く新しい電池で、“半固体電池”とも呼ばれる。

 一般的なリチウムイオン二次電池は、セラミックスなどの電極活物質の粉末と導電助剤および、それらを結着させる有機バインダーで正極を構成する。そして正極と負極の間のセパレーターとして電解液を用いる構造が一般的だ。この構造では、60℃を超えるような高温環境になると有機バインダーが電解液と反応してしまい、電極活物質の粉末と導電助剤を固定する結着力が低下する。そのため、高温にさらすと、激しく電池性能が劣化し、場合によっては正極と負極のショートや発火を起こすことになるわけだ。

 これに対しEnerCeraは、一般的なリチウムイオン二次電池とは正極の構造が全く異なる。「結晶配向セラミックス正極板」と呼ぶ1枚のセラミックスの板だけで正極を構成。導電助剤、そして高温下で電解液と反応し、劣化、発火を招く有機バインダーを一切使用していない。そのため、根本的に熱に強く、長寿命なのだ。

「EnerCera」と一般的なリチウムイオン電池の構造/特長比較 (クリックで拡大)
 日本ガイシ執行役員でエレクトロニクス事業本部ADC事業部長の大和田巌氏は「一般的なリチウムイオン二次電池の正極に使用される電極活物質は、多結晶で、それぞれの結晶の向きはバラバラ。リチウムイオン/電子は、結晶の向きに従って動くため、結晶同士の向きがバラバラだと、リチウムイオン/電子の動きを阻害する。そのため、電極活物質を粉末状にして結晶の数を減らすとともに、リチウムイオンや電子の伝導性を高める導電助剤を有機バインダーで結着させる必要があった」という。

 これに対し、EnerCeraが正極に使用する結晶配向セラミックス正極板は、その名の通り、多結晶セラミックスによる正極活物質ながら結晶の向きがそろっているもの。極めてリチウムイオン/電子の通りがよく、わざわざ活物質を粉末にする必要も、導電助剤を使う必要もなく、厄介な有機バインダーを含まないリチウムイオン二次電池が実現できたのだ。

 リチウムイオン/電子の通りがよいためEnerCeraは、低抵抗で、高エネルギー密度を実現しやすく、大電流放電にも対応しやすいといった特長を持つ。