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ペプチドリーム(株)【4587】の掲示板 2020/03/03〜2020/03/10

臨床試験入りで注目されるのは、米国Kleo Pharmaceuticals社と共同で研究開発を進めている2種類の化合物だ。いずれも多発性骨髄腫を対象とした治療薬で、がん抗原であるCD38に特異的に結合するペプチドと、ヒト体内のIgG抗体と特異的に結合する低分子化合物を組み合わせた化合物だ。ペプチド部分をペプチドリームが、低分子部分をKleo社が開発した。ヒト体内のIgG抗体をがん細胞に強制的にくっつけて、免疫細胞にIgG抗体がついたがん細胞を攻撃させるというコンセプト。体内に存在するIgG抗体を活用するため、生理的な環境に近い形で治療ができ、副作用が少ないことが期待されている。

 1つ目のKP1237は2月7日に米国で新薬臨床試験開始届(IND)が承認されたことが発表されており、医療機関などでの準備が済み次第、2020年の前半には治験入りする見込みだという。KP1237は多発性骨髄腫の患者のうち、幹細胞移植治療を実施した患者を対象とした体外(Ex vivo)治療に用いるもので、体外に血液を取り出して薬剤と反応させてから戻す方法を取る。「ヒトのサンプルを用いた試験では、副作用の原因となる補体依存性細胞障害(CDC)は見られず、腫瘍細胞に対するADCC活性はダラザレックスと同等の活性が見られた」(金城氏)という。体外治療は体内に投与するよりも安全性は高いものの、患者が限定されることから市場性は小さい。

 2つ目のKP1196は体内に投与して使用する。こちらも上記のKP1237と同じメカニズムを狙ったものだが、体内に投与するため長時間作用型にしている。IND申請の準備に入っており、2020年中の臨床試験入りを視野に入れているという。

 多発性骨髄腫のマーケットは「ダラザレックス」(ダラツムマブ)が年間3000億円超を売り上げている。ペプチドリームが共同開発中の化合物は、ダラザレックスが持つ輸注反応や免疫細胞の現象などの副作用が少ないことが期待されている。