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日本化学産業(株)【4094】の掲示板 2017/03/22〜2018/02/17

本日の日経速報ニュースから転写~「住友鉱、「地味な投資」が秘めるEV材料成長のカギ」

もともと今回の事業参入は、低品位の鉱石からニッケルを回収できる住友鉱の「HPAL(高圧硫酸浸出)」技術を活用したものだ。住友鉱が05年に世界で初めて商業生産に成功。世界の競合資源メジャーもこの技術に挑戦したが、難易度が高く失敗している。SMBC日興証券の山口敦シニアアナリストは「世界的に見てもかなりの技術的優位性がある」と太鼓判を押す。この技術を使ってニッケルを製錬しているフィリピンの工場では新たにクロマイトとスカンジウムの回収を通じ、ニッケル中間材料の生産コストを5%程度下げられる見込みだ。
 ニッケル製錬の生産効率を高めることは、川下にあたるEV電池向けニッケル材料事業のコスト競争力を高めることにもつながる。同社は現在、パナソニックを通じて米テスラにEV電池の正極材をほぼ独占供給している。さらなる需要拡大を見据え、約220億円を投じて増産投資を進めており、18年6月の月産能力を16年比で2.5倍弱の4550トンに増やす計画だ。中里佳明社長は「EV向け電池の市場は大きくなるだろうが、いずれは汎用化される」とコスト競争力を高める必要性を強調する。
 ニッケルについては、今後の需要拡大で安定確保が難しくなる可能性もささやかれる。住友鉱の強みは、鉱山開発から製錬、材料まで一貫して自社で生産していることで、安定供給につながりそうだ。
 12日の株価の終値は5460円と、16年末と比べると8割強上昇。株式併合を考慮した07年の上場来高値(6560円)も視野に入ってきた。予想PER(株価収益率)は22倍とやや過熱感もにじむ一方、EV向け材料の需要が着実に増えれば上値余地はありそうだ。
 住友鉱は過去2年は非鉄市況の下落に苦しんだが、18年3月期は3期ぶりの最終黒字を見込む。連結経常利益予想(970億円)に占める製錬事業の比率は33%、材料事業は11%だ。野村証券の松本裕司アナリストは「材料事業の成長は5年後に経常利益を1~2割押し上げるだろう」と語る。
 こうした収益改善を確実にするためにも、川上のニッケル製錬の競争力強化は欠かせない。地味な投資が回り回って果たす役割は小さくなさそうだ。