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(株)ディー・ディー・エス【3782】の掲示板 2018/03/20〜2018/03/22


「世界初」のレベル3情報による指紋認証、高解像センサーで指先の汗孔が見える

3/22(木) 8:10配信
MONOist

「世界初」のレベル3情報による指紋認証、高解像センサーで指先の汗孔が見える
DDSが試作した指紋センサー。3.5×5mm角でスマートフォンに組み込み可能なサイズだ
 東京大学大学院情報学環セキュア情報化社会研究寄付講座グループ(SiSOC TOKYOグループ)とディー・ディー・エス(DDS)は2018年3月19日、東京都内で会見を開き、従来よりも高精度な指紋認証が可能なセンサーと解析アルゴリズムを開発したと発表した。スマートフォンに組み込み可能な小型のセンサーチップも試作済みで、早ければ2019年春ごろまでに採用製品が発表される可能性がある。

【指紋のレベル1~レベル3情報の違いなどその他の画像】

 両社が開発したのは、指紋のレベル3情報(第三次特徴)を高精度に取得できるセンサーと、その情報を用いて高精度に個人認証を行うための解析アルゴリズムだ。DDSが2016年から開発を始めた技術について、SiSOC TOKYOグループ 特任教授の梅崎太造氏が指導、検証を行い、今回の発表に至った。既に特許も申請済みである。

 試作した指紋センサーは、3.5×5mm角でスマートフォンに組み込み可能なサイズだ。3.5mm角の撮像サイズでの解像度は約3000ppi(1インチ当たりの画素数)に達する。従来の指紋センサーで同じ撮像サイズの場合、解像度は約500ppiなので6倍の解像度を実現した。コストについても「現行の指紋センサーと同程度、もしくはより低価格になる」(梅崎氏)としている。なお、センシング技術は、特殊な膜とLED光を用いて実現しているが詳細は非公開。

●スマートフォンで進む全面ディスプレイ化にも対応可能

 従来の指紋認証では、渦状紋や弓状紋など指紋の隆線の流れを用いるレベル1情報や、細線化した指紋の隆線、端点、分岐点を特徴点とする「マニューシャ」を用いるレベル2情報を使うことがほとんどだった。今回開発した技術で取得できるレベル3情報は、肉眼で見ることができない、指紋の中にある汗孔(かんこう)や隆線の太さなどを用いる。梅崎氏は「これまでにレベル3情報を用いた指紋認証は実用化されていないので、この開発成果は世界初といっていいだろう」と強調する。

 アップル(Apple)が「iPhone」に採用して以降、スマートフォンへの指紋認証技術の採用が拡大している。スマートフォン採用が進む中で、センサーの小型化も進んでいるという。「レベル2情報であるマニューシャを使う指紋認証では、登録した指紋と認証しようとする指紋のマニューシャが12点一致すれば同一の指であると見なしてよいといわれている。しかしスマートフォンでは、実装面積やコストを考慮し、多くの指紋センサーが8×8mm角以下のサイズになっている。8×8mm角以下となると、取得可能なマニューシャは5~10点になってしまい指紋認証ができなくなってしまう」(梅崎氏)。

 今回開発した指紋センサーとアルゴリズムを使えば、マニューシャが2個程度しかとれない3.5mm角のセンサーサイズでも、レベル3情報である汗孔は50点以上取得できる。指紋の隆線や谷線の起伏、隆線上の汗孔などの位置を抽出し、その位置関係を個人の特徴として利用することで、従来よりも小さな指紋センサーでも十分な精度での認証が可能になるというわけだ。

 DDS 研究開発担当取締役の林森太郎氏は「生体認証の需要はグローバルで拡大している。アップルが『iPhone X』で顔認証技術を採用したが、これは3Dセンサーにより高い認証精度を確保できたからだ。指紋認証も、今回開発した技術のようにより小型かつ高精度を実現できればさらに採用が広がるだろう」と語る。

 なお、DDSは先行顧客への提案も始めており、早期に採用が決まれば開発技術を用いたスマートフォンが2019年春にも発表される可能性がある。また、スマートフォンで進んでいる全面ディスプレイ化への対応については「有機ELディスプレイであれば、ディスプレイの中に組み込むことも可能とみている」(林氏)という。