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(株)オープンハウスグループ【3288】の掲示板 2022/12/30〜2023/07/14

荒井正昭社長に聞く
顧客目線&ビビり経営で業界ナンバーワン目指す
1965年、群馬県生まれ。97年9月、オープンハウスを創業、代表取締役社長に就任。2013年9月に東証1部上場。
 2023年9月期決算で売上高1兆1000億円を見込んでおり、普通にいけば1兆円企業になるという目標は達成できるだろう。でも、今、ことさら檄を飛ばしてはいない。ベンチャー気質でやってきた会社だが、それはそのままにしてガバナンスやコンプライアンスといった点をレベルアップさせなければという思いが強い。
 上場してから10年で売上高を10倍にした企業は少ないはずだ。ここまで成長できたのは、徹底した顧客志向を追求してきたからだ。
 私は起業する前、不動産仲介の会社で営業をしていた。優秀な営業は一般的にトークなどのテクニックに走りがちだ。だが、私はマーケティングや、優秀ではない営業が売れるようにする方法に興味があった。トークを磨くよりも、問い合わせが多い方が数字は増えるだろうということだ。
意思決定スピードと高速回転
 お客さんが不動産に望むことの答えは、結局のところ「場所」と「グロス(予算総額)」だ。その中でも低金利時代になり、ダブルインカムが当たり前になってローンも組みやすくなるなどの変化が生じている。そこに合う商品を提供することを、徹底して考えている。
 今の若い人は合理的で、利便性が高いなら土地柄なども気にしなくなっている。ならば、大手デベロッパーの価値観で多少ためらうような場所であっても提供していく。
 そうした意思決定のスピードは、ずばぬけて速い自信がある。毎週、駅からの距離、広さなど現場から集まるデータに基づいて議論し商品を作っているからだ。成功体験を捨てることは怖くないし、恥ずかしいとも思っていない。あくまで結果主義だ。
 当社のもう一つの特徴は、用地の仕入れから建設、販売までを高速回転させるビジネスモデルだ。だから1兆1000億円の企業にもかかわらず、保有資産がほとんどない。当社の自己資本利益率(ROE、22年9月期に24.7%)の高さのゆえんだ。IT化にも力を入れている。営業が案件を入力すれば、即座に書類やチラシが完成するバックエンドのシステムを構築しているのだ。
 私はこんな見た目で声も大きいので、イケイケの「攻めの経営」をしていると思われがちだ。だが、当社を知る業界の人は「イケイケだけど緻密」と評してくれている。
新入社員向けの研修資料。「顧客第一主義」を徹底するノウハウが詰まっている
 根底には「ビビり」がある。創業したのは1997年9月で北海道拓殖銀行と山一証券が経営破綻する直前。90年代の不動産バブルの崩壊や2008年のリーマン・ショックなどで、大きな独立系不動産会社が倒れていくのを目の当たりにしてきた。分譲マンションや海外不動産などの事業多角化を進めるなど、常に次のビジネスを考えているのも、会社をつぶしたくない一心の「ビビり経営」の発想だ。
 マンション価格が下がるとずっと雑誌などで言われてきたが、私は「そんなことはないだろう」と思ってきた。でも、そろそろではないか。一部の郊外の戸建ては値下がりが始まっている。ただし、都心部のマンションに限っては供給数が少なすぎるため、そんな値下がりはしないとみている。
 人口減少は将来の市場規模縮小を意味する。やはり海外の割合を増やしていくほかないだろう。だが、たとえ市場規模が25%減ってもゼロにはならない。その時のお客さんたちがどんな家を望むのか、その時に考えればいい。もちろん、今のやり方ではダメだ。
 起業したからには業界ナンバー1となるまで成長したい。若くして「もう一生分稼いだ」と会社を売ってしまう経営者もいる。それが賢いのかもしれないが、我々のような会社が、エリート集団を逆転して業界のトップになれたら痛快ではないか。(談)